横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (43)人気化するセクターの上げ波動に乗ろう!
◆いま優位なのは値がさハイテク株か、内需系大型株か
NT倍率は、日経平均株価をTOPIX(東証株価指数)で割ることにより算出され、その推移を追うことで、この2つの株価指数のどちらが相対的に強いのかを知ることができます。NT倍率の数値が大きくなるようであれば日経平均株価の上昇率がTOPIXのそれを上回っていることを示し、逆にNT倍率が低下する場合はTOPIXの上昇率が日経平均株価を上回っていることを意味します。
日経平均株価の日足チャートを見てみましょう。2023年1月4日の安値は2万5661円でしたが、春頃から上昇の勢いが強くなり、6月19日にはバブル後の高値となる3万3772円まで駆け上がりました。年初から32%ほど上昇したわけですが、5月には13倍台後半だったNT倍率は6月21日には14.63倍(終値ベース)まで上昇しています。この間、日経平均株価がTOPIXより優位にあったことが分かります。
その後、日経平均株価が高値と安値を切り下げる動きを続けていることもあって、足もとのNT倍率は低下傾向にあります。9月11日には13.75倍まで低下しています。NT倍率が低下しているということは、TOPIXが相対的に強くなっていることを示しています。
図1 日経平均株価 日足チャート
ここでTOPIXの日足チャートを確認してみましょう。日経平均株価が上値重く軟調に推移する一方で、TOPIXは6月19日以降も堅調に推移していることがわかります。6月19日には2290ポイントだったTOPIXは7月3日には2321ポイント、8月1日には2337ポイント、9月7日には2397ポイントまで上昇しています。
図2 TOPIX 日足チャート
日経平均株価は日本経済新聞社が選んだ日本を代表する225銘柄で算出されています。どちらかと言えば、輸出関連のハイテクセクターなど値がさ株の影響を受けやすいといえます。一方、TOPIXは上場銘柄を広く網羅して時価総額加重平均で算出されるため、時価総額の大きい内需セクターなど大型株の影響を受けやすいといえます。(なお、TOPIXは市場再編前では東証1部上場の全銘柄を対象としていましたが、市場再編により市場区分に関係なく基準に則って構成銘柄が選定されることになり、流通株式時価総額が100億円未満の銘柄は原則として段階的に算出対象から外されます。)
現在、市場でどのセクターや銘柄が物色されているのかを知りたい時、NT倍率を参考にすることで、それぞれの指数への影響が大きいセクターや銘柄など、どこが買われているのか大まかですがわかるようになります。
さらに、細かく絞り込みたい時には、グローバルナビの「株価注意報」から「本日の動向」の一番下にあるメニュー「東証【業種別】騰落ランキング」を確認しましょう。ここではその日の騰落率の高い順で全業種が一覧で表示されます。図3のように「銀行業」や「保険業」といった内需関連の業種が上位にある状況を見ると、これらセクターの大型株がTOPIXの強さを支えていることが分かります。
図3 東証【業種別】騰落ランキング(株価注意報)
個人投資家はどうしても自分の好きなセクターに目が移りがちです。しかし、個別銘柄がそうであったように、セクターでも株価はファンダメンタルズ(業績)に対して割高になれば売られ、割安になれば買われることになります。こうして投資家の人気は常にセクター間を循環し続けています。相場の盛り上がりに自分の銘柄だけついていけないという事態に陥ることを避けるためにも、NT倍率を参考にどのセクターに注目が集まっているのかを分析していくことが大事でしょう。また、NT倍率の推移を追うことで、市場人気の変化をいち早くキャッチして次の活躍セクターへと先回りすることもできるようになることでしょう。
是非、みなさんも物色が集まる人気セクターを探して相場の波に乗ってみてください!
株探ニュース