この赤字は「一過性」、そう判断して中小型・半導体株で2000万円を稼いだ技
すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 amaさんの場合-最終回
A&Dホロン<7745> |
定年退職してから配当収入で暮らしている専業投資家。株資産は2億円弱で、直近1年間の配当は800万円になる。その投資スタイルは、ファンダメンタルズ重視で選んだ1銘柄を超長期で運用する集中投資だ。経営および事業分析を得意とし、サラリーマン時代に新規事業の開発部門を担当してきた経験が強みとなっている。趣味はゴルフ。週3回のペースでラウンドをして、週2回は打ちっぱなしに行くほどの熱中ぶりだ。「株探アンケート~24年の日本株戦略」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
第1回記事「配当収入800万円、それでも信用2階建ての集中投資に挑む億り人」を読む
第2回記事「1億円の損失、どん底からの大逆転を支えた『バフェットの教え』」を読む
集中投資で億り人となったamaちゃんさん(ハンドルネーム、以下amaさん)は、サテライトで数カ月間の中期売買も行う。
中期売買では、長期運用しているエリアリンク<8914>の現物株を担保に信用取引を活用し、その投資対象はエリアリンク同様、割安成長株を対象にする。
このスタイルで、昨年の2023年には3400万円のリターンを獲得し、その中には今話題の半導体関連株も含まれている。最終回は、サテライト投資での中期売買の成功例などを見ていく。
A&Dホロンで2000万円のリターン
中期売買で直近に最もリターンを上げたのが、計測・計量機器メーカーで半導体関連の事業も手掛けるA&Dホロンホールディングス<7745>だ。
22年半ばから23年半ばにかけた2回の売買で、計2000万円のリターンを獲得した(下のチャート)。
■A&Dホロンの週足チャート(2021年12月~24年1月)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
同社は、22年4月に電子計測器を祖業とするA&Dと、その連結子会社で半導体装置を手掛けるホロンとが経営統合して誕生しており、半導体関連事業をグループの成長エンジンと位置づけている。
amaさんが1回目に買いを入れたのは、経営統合から4カ月後の22年8月。A&Dホロンが22年4~6月期(23年3月期1Q)の赤字を発表して株価が下落したタイミングだ。
■『株探プレミアム』で確認できるA&Dホロンの四半期業績の長期の成長性推移
買いの決め手は、赤字が一過性の要因であり業績は持ち直していくと判断したことだ。
22年4~6月期の売上高は120億円ほどと前年同期比で3.8%の増加となったものの、2億円程度の営業損失となった。決算資料によれば、急激な円安が売上原価を押し上げたためとされる。
22年4~6月期のドル円相場は、期初に120円台前半だったのが期末に130円台半ばまで水準を切り上げていた(下のチャート)。
売上原価は76億400万円と、前年同期から12億7500万円増加。このうち約10億円が「棚卸資産の未実現利益消去」と呼ばれる会計ルールに基づく調整によるもので、10億円のうち約7億円が為替の影響とされている。
■ドル円レートの週足チャート(2021年12月~22年10月)
赤字の本質は、物流網の混乱
だが赤字の根本要因について、amaさんは別の見方を持っていた。そもそも円安は、海外輸出を展開する同社の事業に恩恵をもたらす側面もある。
本人が赤字の本質とみなしたのが、物流網の混乱による半導体関連事業の減速だ。
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