伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 7月21日版
日経平均は8月上旬頃までに3万6733円まで下げる公算か
1. NYダウは8月上旬頃までに3万9037ドル前後まで下げる公算
本年7月の NYダウは、月初から勢いの強い上昇の流れを作り、年初来高値を更新し、一気に上値の限界を試す急上昇を経過した後、強く上値を抑えられる展開となっています。
1990年から2023年までの期間で、7月が本年と似たパターン(月初から上昇して、年初来高値を超えた後、上値を抑えられる動き)になっている年は、1990年、1995年、1998年、1999年、2007年、2014年、2016年、2019年が挙げられます。
これらの年の値動きを見ると、1995年を除いて7月に戻り高値を付けた後、8月上旬頃まで下降の流れを作っています。8月中旬、または9月頃まで下げの流れを作っている場合もありますが、下げが早めに終了する場合でも8月上旬まで下値を試す流れになっています。
これらの年の7月は、足型で上ヒゲの長い線をつける格好となって、前半の上げ分の大部分を押し戻される動きとなっています。
1995年は、7月上旬に上昇し、中旬に上げた分のすべてを押し戻されて、下旬までの期間で再び高値圏へ値を戻す動きとなっています。8月初めに高値を付けた後に再び下降を開始して、9月までの期間で7月の安値まで下げています(7月から9月上旬が全体で保ち合いの動きとなっています)。
8月に7月の安値付近に位置する場面が表れていない年は、2016年だけです。
2016年は7月の高値が意識される格好で、その後、11月上旬まで小幅なレンジで戻せば売られる展開となって、徐々に下値を切り下げる流れとなっています。
2016年7月の安値は1万7713ドル、11月の安値が1万7883ドルなので、日柄がかかっていますが、7月の安値付近まで下げる動きとなっています。
まとめると、本年と似た値動きになっている年は、「7月中旬に戻り高値を付けた後、たいていの場合、少なくとも8月上旬頃まで下降の流れを継続する」、「8月上旬頃までの期間で7月の安値付近か、それ以下まで下げる」、「下げ方が遅くなっても、7月の安値付近まで下げている」という展開になっています。
以上のことを考慮すると、本年は7月18日の高値4万1376ドルが戻り高値となって、8月上旬頃までの期間で7月1日の安値3万9037ドルまで下げる動きになる公算です。
本年が8月以降に一段高を残しているなら、7月18日以降の下げは3万9037ドル付近で終了して、8月以降に再上昇を開始すると考えられます。
4万1376ドルが当面の強力な壁になるなら、今後は9月頃まで下げの流れを作り、4月の安値3万7611ドルを目指す動きになると考えられます。