【杉村富生の短期相場観測】 ─「まじトラ」を織り込む世界の金融市場!

市況
2024年7月21日 9時15分

「『まじトラ』を織り込む世界の金融市場!」

●徐々に“夏枯れ”商状が濃厚に!

夏相場について、「長期上昇トレンドは不変だが、目先は警戒を」と主張、「短期的には波乱含みの展開に陥る」と指摘してきたが、想定以上の厳しい“乱気流”突入である。揺れ(上下動)が大きい。ただし、日経平均株価は25日移動平均線(3万9948円)が下値のメドになっている。この水準を下回ると、瞬間的に売りが止まる。

とはいえ、機関投資家の多くがサマーバカンスに入る。つれて、市場参加者が減少する。東京市場の場合、7月12日のオプションSQ(特別清算指数算出)に向け、先物をあおりショート筋を締め上げる動きがあった(そのあと急落)が、NY市場は19日がSQだ。18日の急落は「その後」を先取りした動きだろう。

政治は日米欧ともに荒れ模様だ。イギリスは政権交代、フランスは与党が惨敗した(総選挙)。アメリカはトランプ候補が銃撃事件をきっかけに、圧倒的に選挙戦を有利に進めている。バンス副大統領候補(39歳)の人気は高い。「もしトラ」→「ほぼトラ」→「まじトラ」といわれている。

トランプ氏の公約は移民、貿易、為替に加え、減税、金融、規制緩和、インフレ抑制、財政出動が目玉である。同盟国には軍事費の増額を求めている。ちなみに、トランプ氏が大統領選で勝利した2016年には三菱重工業 <7011> [東証P]、コマツ <6301> [東証P]、ヤマシンフィルタ <6240> [東証P]などが買われた。その再現があろう。

全般相場は徐々に“夏枯れ”商状が強くなる、と考えている。円高傾向も痛い。為替を決めるのは結局、基軸通貨ドルを持つアメリカの意志だ。そのアメリカ(共和党)が「ドル高是正」を叫び始めた。日本はこの声を無視できない。それに、アメリカは利下げ、日本は利上げだ。共和党政権はトランプ4年、バンス8年と12年続く可能性がある。

●テーマ性内包の元気な銘柄を狙う!

話題(テーマ)としてはまず、深刻な人手不足がある。首都圏の飲食業では「時給1700円」が出現している。オイシックス・ラ・大地 <3182> [東証P]は働く女性(男性)のための学童保育所(学校が終わったあとの数時間、児童を預かってくれる施設)を1570カ所有し、給食運営を手掛けるフードサービス事業との相乗効果が見込める。

電力不足が起こる。熊本(菊陽町)は台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>、北海道(千歳市)はラピダスが新工場を建設中だ。半導体部材製造装置メーカーの建設工事が並行的に進められている。データセンターの建設計画もある。九州電力 <9508> [東証P]、北海道電力 <9509> [東証P]の電力需要は急増するだろう。

サイバーテロが激増している。細かい事例は報道されない。先日、同居する娘の子供の「情報が流出した恐れがある」と教育委員会からの手紙がきていた。セキュアヴェイル <3042> [東証G]は動兆しきりだ。網屋 <4258> [東証G]はデータセキュリティ事業に強みを持っている。FFRIセキュリティ <3692> [東証G]はこの分野の第一人者である。

トランプ・ラリーの隠れた銘柄は三井不動産 <8801> [東証P]だろう。トランプ氏は防衛、移民政策、貿易問題、為替などに関し発言しているが、都市開発、宇宙などに関心が高い、といわれている。三井不動産はニューヨークの再開発(55ハドソンヤード、50ハドソンヤード)を成功させたし、東京都の築地再開発プロジェクトを推進している。

このほか、アクティビスト(物言う株主)が玉を執拗に集めている青山財産ネットワークス <8929> [東証S]、上値慕いのロココ <5868> [東証S]、出遅れ修正の富士急行 <9010> [東証P]、肥後銀行と鹿児島銀行が母体の九州フィナンシャルグループ <7180> [東証P]、好業績のタスキホールディングス <166A> [東証G]などに注目できる。

2024年7月19日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.