EIZO:NEUTRAL継続【今村証券アナリストレポート】
●EIZO<6737>[東証P]
レーティング: NEUTRAL(2025/11/21)→ NEUTRAL
◆ヘルスケアなど特定市場向けに強みのあるグローバルニッチ企業
◆欧州経済の影響で業績低迷続いたが、今期は持ち直し
◆インドや中東など成長市場に注力

注)2024年10月1日付で1株につき2株の割合で株式分割を実施しており、2022年3月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定してEPS、BPS及び配当金を表記。
◆会社概要…医療用途など特定用途に強み
高精度画像に強みをもつモニターメーカー。ヘルスケア(医療用途向け)、クリエイティブワーク(映像制作や出版・印刷、デザインなどの用途向け)、航空管制(以下「ATC」。市場別では「V&S(産業用途向け)」に含まれる。)向けなどで高いシェアを持ち、映像に関するテクノロジーをコアに事業を展開。売上の4割程度を欧州が占める(資料1参照)。

◆業績…欧州経済低迷が影響
2026年3月期連結業績は売上高がほぼ横ばいとなる中、営業利益は4期連続の減益。ヘルスケアが海外で復調気味となったものの、なおも欧州経済減速の影響が足を引っ張る。売上高は2023年3月期から横ばいが続く(資料2参照)。

利益については成長投資に伴うコスト増加が重荷となっている。粗利益率は32%程度を維持しているものの、人件費の増加や設備投資に伴う減価償却費の増加が重荷だ。2026年3月期は棚卸資産評価損約4億円の計上も利益を押し下げた。純利益については、欧州事業の再構築のための事業構造改造費用や減損損失を特別損失として9億円余り計上した一方、投資有価証券売却益約80億円を計上したことで大幅な増益となった。
今期は中東情勢の直接的な影響は見込まず、欧州経済の停滞が続くと想定する中で、米国でATCの更新需要が支えとなる。ヘルスケアが海外で持ち直し気味にあることも増収に寄与する。利益については欧州事業の合理化進展に加え、大型投資一服によってコスト増加が一服することで利益率の改善が見込まれ、営業増益見通しだ。純利益については政策保有株式の売却を進めることから投資有価証券売却益44億円を計上する予定だが、前期の押し上げが大きかった反動から減益見通しだ。

なお、会社は2029年3月期までの3年間で総額約100億円の政策保有株式の売却を計画している。この間、投資有価証券売却損益が純利益の変動要因となる点には注意したい。
来期業績については、ヘルスケアやV&Sなど映像表示システムが過去10年間の平均成長率並み(2.5%)に伸びると想定、利益率の小幅な改善を前提に、売上高870億円、営業利益36億円と小幅な増収増益を予想する。純利益については投資有価証券売却損益の影響が見込まれるが、投資有価証券売却益が今期予想並み(44億円)であれば純利益は67億円程度となりそうだ。
◆強みと成長戦略
強みはヘルスケアやクリエイティブワーク、ATC用途や船舶用途などニッチな市場で圧倒的なシェアを持つことだ。年間70億円程度の研究開発費(売上高に対する比率8%程度)を投じ高付加価値製品を開発、他社と差別化を図る。新規案件に加えて安定した更新需要があることが収益の基盤となっている。
近年は先行投資に係るコスト増加によって営業利益率が低下しているが、粗利益率が30%超を維持していることは同社の競争力が維持されていることの表れと考える。大型投資が一巡したことで、今後は利益率の改善が期待される。
成長ドライブは高性能のモニターや高感度カメラなどのハードウェアとソフトウェアを融合したソリューションサービス(EVS:EIZO Visual System)だ。河川・港湾等のインフラ保全や監視システムなどでの利用が進むほか、無人運航船プロジェクトでも活用される。建設機械や湾岸クレーンの遠隔操作などでの実証実験も進む。今後の産業分野や医療分野での採用拡大が期待される。
日本と欧州以外の地域での事業拡大も成長のけん引役だ。北米や中国においてシェア拡大余地があるほか、インドやサウジアラビアでの取引拡大を図る。
今期は第8次中期経営計画の最終年度だ。開発・生産の体制づくりやEVSの取り組みは着実に進展し、株主還元も拡充された一方、欧州経済低迷の影響を受けて売上高や利益、ROEなどの数値目標には課題がある。会社は次期計画を2026年内に公表する予定だが、この中で持続的なROE向上のロードマップを提示する見通しだ。利益率改善に向けた成長戦略や株主還元強化などROE向上に向けた施策に注目したい。
◆投資判断
決算発表後に株価は上昇し、足元の株価は2018年5月以来の高値水準にある。収益性に課題がある中、バリュエーションは妥当な水準と考える。投資判断は「NEUTRAL」継続とする。
| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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今村証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース