米国株式市場見通し:10-12月期決算発表シーズンに突入
先週は、雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大幅に下振れたものの、平均時給が前月より伸びたことから、FF金利の先物取引から算出される利上げ確率は3月と6月の年2回を予想する向きから変化しなかった。FOMC議事録では大半の委員が年内の緩やかな利上げ継続を支持する見方が示された。12月に税制改革法案が成立し、FOMCの見通しにも減税の影響が盛り込まれた一方で、インフレ率には上昇の兆しが出ておらず、経済指標から利上げ時期を占う展開が続きそうだ。
北朝鮮情勢に進展があり、平昌五輪参加や五輪開催期間の米韓合同軍事演習の延期合意など緊張緩和から地政学リスクが後退しつつある。9日に南北会談が開催予定だが、北朝鮮が対話の姿勢を示せば、ミサイル発射や軍事衝突への発展といったリスクが低下し、投資家のリスク選好姿勢が一段と強まるだろう。
ダウ構成銘柄では、大手行のJPモルガン・チェース(12日)を皮切りに10-12月期決算発表シーズンに入る。資産運用のブラックロック(12日)やウェルズ・ファーゴ(12日)などの金融各社などの決算発表が予定されている。金融機関の一部は税制改革による繰延税金資産の評価見直しで短期的な利益減少を発表しているが、利上げ等の影響も加味した長期的な業績見通しの発表に注目したい。また、決算発表シーズンに入ることで主要企業の足元の業績や見通しに注目が集まるため、株価収益率(PER)などで割安感のある銘柄の株価水準が見直されるだろう。
経済指標では、12月輸入物価指数(10日)、12月生産者物価指数(11日)、12月消費者物価指数(12日)、12月小売売上高(12日)などの発表が予定されている。低失業率や株式市場の活況を受けて年末商戦期は好調となり、12月の小売売上高は予想を上回る内容が期待できそうだ。オンライン販売の台頭による業績不振や店舗閉鎖が懸念されていた百貨店のメーシーズやJCペニーは既存店売上高の成長が確認されており、小売株を物色する動きが広がりそうだ。また小売業は税制改革による利益の押し上げも期待できる。
9日から12日にかけて、ラスベガスで世界最大規模の国際家電見本市 (CES) が開催される予定だ。昨年にAmazon EchoやGoogle Homeなど人工知能(AI)スピーカーが普及し始めたことから、スマートホーム関連分野が目玉となりそうだ。また、次世代ネットワークとなる第5世代移動通信(5G)についてクアルコム、ベライゾン、バイドゥからの基調講演が予定されている。5Gが実用化すれば、コンテンツの充実度に加えて、通信速度の向上などインターネットサービスやアクセス方法の利便性が向上するため、注目したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ