新興市場見通し:マザーズ指数11年ぶり高値でなお先高感、18年最初のIPO発表も
年末の新興市場では、受け渡しベースの年内最終売買日を通過すると利益確定売りが一服し、新年相場への期待から中小型株に積極的な買いが入った。日経平均が23000円手前でのもみ合いとなっていたため、中小型株に物色が向かいやすかった面もある。年始は大発会から日経平均が700円超の大幅高となり、大型株優位の相場展開だったが、良好な地合いを背景に中小型株の循環物色も続いた。なお、12月25日から1月5日までの騰落率は、日経平均が+3.5%であったのに対して、マザーズ指数は+3.5%、日経ジャスダック平均は+3.2%だった。マザーズ指数はおよそ11年ぶり、日経ジャスダック平均は27年ぶりの高値水準となっている。
個別では、マザーズ時価総額上位のそーせいグループ<4565>が同期間で1.7%高と堅調だったほか、PKSHA Technology<3993>が同23.6%高と大きく上昇した。人工知能(AI)関連として期待が再燃したようだ。大発会ではじげん<3679>の上昇も目立った。売買代金上位ではみらいワークス<6563>やサインポスト<3996>といった直近IPO銘柄が活況だった。また、スマートフォンゲーム「神の手」の動向が注目されたブランジスタ<6176>が同期間のマザーズ上昇率トップとなった。反面、ミクシィ<2121>は同7.6%安と軟調だった。チケット転売サイト「チケットキャンプ」を巡る損失計上などが嫌気された。サイバーダイン<7779>もやや利益確定売り優勢だった。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が米ハイテク株高の流れで同9.2%高となり、セリア<2782>も12月の月次売上高への期待から同7.0%高と堅調だった。また、複数のリリースが観測されたラクオリア創薬<4579>や中国子会社の上場期待が再燃したレカム<3323>などが人気化した。一方、日本マクドナルドHD<2702>は期末の権利落ちに伴い同5.2%安となった。IPOでは、ABホテル<6565>が公開価格の約2倍となる初値を付けた。要興業<6566>やオプティマスグループ<9268>もしっかりした初値形成だった。
今週の新興市場は、相場全体の先高期待が再燃していることや投資家のリスク選好姿勢が強まっていることなどから、引き続きしっかりした展開となりそうだ。マザーズ指数は高値更新により上値妙味が広がり、需給状況も良好だろう。材料性のある銘柄やテーマ株、直近IPO銘柄などに値幅取り狙いの物色が循環的に向かいそうだ。
今週は1月10日にアイケイ<2722>、ANAP<3189>、フロイント産業<6312>、放電精密加工研究所<6469>、GameWith<6552>、11日にUUUM<3990>、幸和製作所<7807>、12日にフィル・カンパニー<3267>、串カツ田中<3547>、ロコンド<3558>、SHIFT<3697>、レイ<4317>、ベイカレント・コンサルティング<6532>などが決算発表を予定している。米国では9日から世界最大の家電・IT見本市「CES」が開催され、AI、IoT(モノのインターネット)、自動運転等の関連銘柄にも関心が向かいそうだ。
IPO関連では、18年最初の新規上場案件が発表されている。世紀<6234>が2月8日にマザーズへ新規上場する。マザーズ上場案件としては公開規模がやや大きく、IPOで人気の業種とも言いづらい。しかし例年、最初のIPOは注目度が高く、強い初値形成となる傾向がある。良好な市場環境も追い風になるとみられ、今後の動向に注目したい。
《HK》
提供:フィスコ