太田千尋氏【再上昇気配漂う日経平均、急騰一服後の針路は】(1) <相場観特集>

特集
2018年1月15日 18時30分

―押し目買い意欲旺盛で、世界株高の流れに死角なし?―

15日の東京株式市場は、目先筋の売り物をこなし切り日経平均株価が4日ぶりに反発。年初に日経平均が記録的な急騰をみせた反動もあって、前週後半は調整を入れたものの、下値では押し目買い意欲の強さを反映している。足もと進むドル安・円高などが重荷となってはいるものの、米国を中心とする世界株高の流れが心理的に強い味方となっている。当面の株式市場の上値をどうみるか。また下値リスクは。第一線で活躍するマーケット関係者に今後の見通しを聞いた。

●「当面は2万4300円メドも長期上昇波の踊り場」

太田千尋氏(SMBC日興証券 投資情報部部長)

東京株式市場は良好な環境にあり、目先的に日経平均は年初に値を飛ばした反動も意識されがちだが、強調展開のなか下値切り上げトレンドは続きそうだ。好調な企業業績をベースに上値指向の強い地合いに変化はない。米国にとどまらず、新興国を含め世界的な景気の拡大が見込まれる点で、足もとの円高の逆風を考慮したにせよ日経平均に影響力の大きい輸出セクターに吹く追い風は強いと判断される。

当面の日経平均の上値は2万4300円前後を上限ラインとみており、下値は3月期末までのタームで場合によって2万2000円台(2万3000円台を割り込む水準)まで下押す場面も考えられる。しかし、基本はボックス圏のなか強含みもち合いとみている。

また、ここでのボックス圏往来は長期上昇トレンドの踊り場であって、その後は徐々に上値余地が広がってくるだろう。4月新年度入りからゴールデンウイークにかけて、上値追い態勢を強め2万5000円ラインに近づいていく展開を想定している。

東京市場は世界景気の拡大を背景に輸出株に優位性があり、とりわけトヨタ自動車 <7203> などの自動車株の一角や三菱電機 <6503> 、SMC <6273> などの設備投資関連が有力視される。一方、内需セクターは脱デフレの流れが顕在化するなかで、新しい環境に適応できる企業とそうでない企業の収益に差が生じ、株価にもそれが表れてくるのではないかとみている。また、相場のステージが変わる過程で、株主還元姿勢を高めることに前向きな企業が、株価的にも評価されるようになっていくと考えている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおた・ちひろ)

1985年日興証券入社。投資情報部、金融法人営業部、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現シティグループ証券)出向(リサーチ部門)、エクイティマーケティング部、株式アドバイスセンター、機関投資家営業部を経て、2013年10月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

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