接近「平昌冬季五輪」、スポーツイベント関連株を振り返る <株探トップ特集>
―ビッグイベントは消費を呼び起こすか、追い風の行方を読む―
今年も年初から駅伝やマラソン、サッカー、ラグビー、スキー、スケートなど各種スポーツ競技の大会が目白押しで開催されている。そして、今年の前半戦では、なんといっても2月9日から25日までの開催が間近に迫った韓国・平昌冬季オリンピック(パラリンピック開催は3月9~18日)への関心が高い。そこで、ビジネスチャンス到来が見込めるスポーツイベント関連銘柄に注目した。
●スポーツイベント開催がテレビ購入の動機づけに
韓国・平昌冬季五輪や同パラリンピックは、日本にとって隣国での開催で時差が無く、テレビでの競技放映もライブでの観戦が可能ということもあり、これをきっかけとしてハイビジョンの4K、8Kテレビの需要が広がる可能性がある。
耐久消費財の購買意欲は、2014年4月からの消費税率8%への引き上げに関連して悪化したものの、現在は底打ちから上昇基調に転じている。また、09年から11年まで実施された、家電エコポイント制度や、11年の地上デジタル放送への完全移行に伴って購入したテレビの買い替え時期を迎えていることも追い風として作用しそうだ。
家電量販店大手のビックカメラ <3048> では「今回の年末年始の商戦でも、4K・8Kテレビは好調な売れ行きを示している。売れ筋は43型以上の大画面で50型台が中心で、価格的にも10万円台からと購入しやすい水準となってきたことが背景にありそうだ。新機種への買い替えを意識しはじめた顧客層にとって、オリンピックやサッカーのワールドカップなど大きなスポーツイベントの開催は、購買を決断する際の動機づけになるものとして期待している」(広報・IR部)としている。
このほかに、家電量販店最大手のヤマダ電機 <9831> 、中部・西日本を地盤とするエディオン <2730> 、北関東地盤のケーズホールディングス <8282> がある。一方、メーカーのパナソニック <6752> 、ソニー <6758> 、東芝 <6502> [東証2]にも注目。
●今シーズンは降雪量十分で冬季五輪の好影響に期待
冬季五輪開催で追い風が加速しそうなのが、白馬八方尾根など国内有名スキー場を数多く運営する日本スキー場開発 <6040> [東証M]だ。同社が11日に発表した昨年12月度の月次速報で、ウインターシーズンのスキー場来場者数は、前年同月比6.0%増となった。訪日外国人客が多い主力の白馬の早期オープンなどが寄与した。同社では「降雪量が極端に少なかった昨シーズンに比べると、今シーズンはほぼ平年並みの降雪量が確保されており、全てのスキー場がフルオープンの状態となっている。 冬季五輪開催に伴って、スポーツ用品関連の量販店はスキーやスノーボードの販売を強化していると聞いており、これが来場者の増加につながる可能性がある。また、例年来場者がピークを打つ2月上旬から五輪が開催されるため、それによる好影響で、シーズン後半の来場者数上乗せに期待感はある」としている。
一方、スポーツ用品関連のメーカーや専門量販店にもビジネスチャンスが広がる。スポーツ用品量販店を全国展開しているアルペン <3028> では「今年は全国的に降雪量が多く、ウインタースポーツ用品の需要拡大に期待している。平昌冬季五輪に、フリースタイルモーグルで出場する遠藤尚選手は、当社オリジナルブランドのスキー“Hart(ハート)”を使用している」(戦略企画室・広報)としている。このほかに、アシックス <7936> 、ミズノ <8022> 、デサント <8114> 、ヒマラヤ <7514> なども注目したい。
●有力選手の所属企業にも注目集まる
さらに、平昌冬季五輪に出場する有力選手の所属企業にも注目が集まりそうだ。スキージャンプ女子で金メダル獲得の期待が掛かる高梨沙羅選手の所属企業クラレ <3405> では、高梨選手を応援するに至った理由について「クラレのベルギー拠点に勤務している高梨選手の伯母さんから“ジャンプ競技の盛んな欧州を転戦しており、練習環境の向上を望んでいる”という話を聞いたのがきっかけで、社内で検討していくなかでグループを挙げて応援しようという機運が高まった」(IR・広報部)としている。
このほかでは、スキージャンプ男子の葛西紀明選手と同女子の伊藤有希選手が所属する土屋ホームを傘下に持つ土屋ホールディングス <1840> [東証2]、フィギュアスケートの羽生結弦選手所属のANAホールディングス <9202> がある。さらに、複数の選手が所属する企業として、北野建設 <1866> 、日本電産 <6594> 傘下の日本電産サンキョー、富士急行 <9010> などにも注目だ。
株探ニュース