来週の相場で注目すべき3つのポイント:長期金利上昇、ソフトバンクG決算、平昌五輪開幕
■株式相場見通し
予想レンジ:上限23500-下限22700円
来週も主要企業の決算が続くことになるが、まずは2日の米国市場が大幅に下落しており、この影響から調整色が一段と強まりそうである。1月の米雇用統計は非農業部門の就業者数が前月比20万人増と、市場予想の18万人増を上回ったほか、賃金は前年比で2009年6月以来の大幅な伸びとなった。この結果を受けて10年債利回りが急上昇。利上げペースが加速するとの懸念から終日軟調な相場展開となり、NYダウは665ドル安と大きく下落し、25日線を一気に割り込んできている。シカゴ日経225先物清算値は23000円を下回っている。
長期金利上昇は、本格的な景気拡大とそれにともなう米国経済正常化の期待感が背景にあるとみられるが、これまでの世界的な株高は金融緩和政策からの金余りによる影響が一因だったこともあり、利上げペース加速への思惑から一先ずポジション圧縮によるマイナス面が先行しているようである。そのため、しばらくは目先的なボトムを探る相場展開に向かいやすいだろう。
また、多くの企業決算が予定されているが、指数インパクトの大きいところでは、7日のソフトバンクG<9984>の決算がポジティブサプライズとなって日経平均をけん引するとは考えづらい。ただ、株価はボトム水準での推移をみせており、アク抜けにつながれば日経平均の下支えとして意識される。6日のトヨタ<7203>についても、高値圏での推移が続いていることから、大きな反応は期待しづらいところであろう。ただし、ホンダ<7267>が上方修正を発表し、PTS(市場外取引)では4000円を回復、ADR(米国預託証券)でも上昇している。また、同じく上方修正を発表したソニー<6758>は、ADRで4%を超える上昇となった。決算後の好反応が続くようであれば、日経平均も足元のもち合いレンジでの底堅さが意識されよう。
とはいえ、25日線を大きく上放れる材料が見当たらず、しばらくはこう着感の強い相場展開になりそうだ。また、平昌五輪が開幕することから、市場参加者の株式市場への関心が薄れる可能性もあるだろう。とは言え、ソニーやホンダの市場反応を見る限り市場のセンチメントは然程悪くないだろう。そのため、決算を手掛かりとした個別対応での日替わり物色が続く格好となり、その間、日経平均の底入れを探る展開といったところであろう。また、先物主導のインデックス売買の影響を受けない中小型株の好業績銘柄等へは、目先的な調整局面においての押し目買いの好機となる可能性がありそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円はもみ合いが見込まれる。米連邦準備制度理事会(FRB)が1月30-31日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ継続の方針を堅持したことから、3月利上げを見込んだドル買いは継続する可能性がある。ただ、ムニューシン米財務長官のドル安容認発言の影響が残っていることから、積極的なドル買いは手控えられそうだ。
FRBは政策金利を市場の想定通り1.25-1.50%に据え置きを決め、FOMC会合後の声明では金利引き上げを継続しても景気は緩やかな拡大が続き、インフレに関しても上昇の見通しを示している。FRBが利上げ継続の方針を堅持したことで、投機的なドル売りは抑制されるとみられる。
■来週の注目スケジュール
2月5日(月):中財新総合PMI、ユーロ圏小売売上高、米ISM非製造業景況指数など
2月6日(火):豪貿易収支、独製造業受注、米貿易収支など
2月7日(水):景気動向指数、米消費者信用残高、ソフバンクG決算など
2月8日(木):都心オフィス空室率、独貿易収支、米暫定予算期限切れなど
2月9日(金):第3次産業活動指数、中消費者物価指数、平昌五輪開幕など
《TM》
提供:フィスコ