清水三津雄氏【“リスク回避”終息へ、戻り相場のメドと物色方向】(2) <相場観特集>
―強力な戻り足示現で、弱気相場からの離脱は秒読み!?―
米国を発信地とするリスクオフの連鎖も一巡し、東京株式市場は前週後半から急速な戻り足をみせている。週明け19日の日経平均株価は400円を超える上昇で、終始高値圏で売り物をこなし、一つのフシ目であった2万2000円台を回復した。3月相場を前に流れは変わったのか。マーケットの先読みに定評のある3人の市場関係者に今後の相場展開および物色の方向性について意見を聞いた。
●「東京市場の割安さ顕著、4月以降には高値更新も」
清水三津雄氏(日本アジア証券 エクイティ・ストラテジスト)
株式市場に対する投資家のセンチメント(心理)は改善してきている。米国動向などにまだ不透明感は残るものの、日経平均は4月以降には1月高値を更新すると予想している。
今回の波乱相場の背景には、米金利の上昇などによるポジション解消の動きがあったと思う。米金利は昨年から上昇していたが、そのなか米株式市場は上昇が続いていた。市場関係者は居心地の悪さを感じながらもロング(買い)ポジションを持っていた。しかし、今月に入っての金利上昇が一斉にポジション解消売りをもたらした。これが波乱相場につながったのだろう。もっとも、株価の下落で米株式市場のPERは17.5倍前後の水準にある。まだ高水準とも言えるが、米大型減税や景気拡大を考慮すれば、許容の範囲内に入りつつある。
一方、日本の株式市場は、PERが13倍を割る水準にまで売られたことで、割安感は強まっている。米国株より日本株に魅力があるとも言える。日経平均は夏から秋にかけて2万6000円が見込めるとみている。
ただ、懸念材料は為替の円高だ。1ドル=105円程度なら19年3月期の減益は何とか避けられると思うが、100円を割り込めば、そうは言っていられないだろう。その意味で、来月20~21日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)は重要だ。その結果を確かめたうえで、株価は上昇基調を強めるとみている。
こうしたなか、電機や機械、それに化学など素材セクターに投資妙味があると思う。今年は「第4次産業革命の開花の年」となるだろう。電機では、TDK <6762> や富士電機 <6504> 、アンリツ <6754> 、イリソ電子工業 <6908> など。機械ではファナック <6954> やダイフク <6383> など、化学株では信越化学工業 <4063> などに注目している。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(しみず・みつお)
日本アジア証券エクイティ・ストラテジスト。歯切れの良さと分かりやすい説明に加え、ピンポイントの銘柄分析に定評がある。セミナー講師を年間50回以上務め、個人投資家との対話が好評を博す。「ラジオNIKKEI」「日経CNBC」「ストックボイス」にレギュラー出演中。
株探ニュース