富田隆弥の【CHART CLUB】 「宵の明星、二段下げ」
◆先日、NHKの「クローズアップ現代」で飽和状態にあるコンビニの生き残り戦術が放映された。コンビニは確かに便利だが、品揃えはどこも似たり寄ったり。100円コーヒーや店内調理品はヒットしたが、店内が油臭くて「入る気になれない」、そんな店もある。さらにドラッグストアのコンビニ化により競争は激しさを増すばかり。シェア自転車やフィットネスクラブ併設など試行錯誤を重ねるが、ヒットしてもすぐ飽きられてしまう時代だけに消費関連業界やコンビニの苦戦は続くだろう。
◆コンビニの株価を見ると、ローソン <2651> は節目の7100円を割り込んできた。セブン&アイ・ホールディングス <3382> は4100円台の節目を維持できるかぎりぎりのところ。ユニー・ファミリーマートホールディングス <8028> が唯一8000円台回復と頑張っているが、厚い節目の8200円処に差し掛かりここからが正念場。どこもいまは注目する気になれない。
◆スーパーマーケットの誕生で街の商店街が消滅、そのスーパーマーケットもデフレと人口減で苦境に陥り、代わりに台頭したコンビニも人手不足とネット通販の登場によりピークアウト感は免れない。ドラッグストアも事情は同じだし、ネット通販にしても宅配便の人手不足や値上げにより勢いが続くかは分からない。
◆そういえば、昨年8月に東証1部昇格で話題を振りまいた「いきなりステーキ」のペッパーフードサービス <3053> 。最近は各店舗の行列が徐々に短くなっていると聞く。「座って食すことが消化を促す」との説も出てきた。株価は昨年、短期間で大化けしたが、10月8230円からはアッという間に半減。消費も、株価も「移り気」しやすい時代を象徴しているように思える。
◆さて、日経平均株価に目を移すと、日足は2月14日の安値2万0950円から二段上げで2月27日に2万2502円まで戻した。1月23日高値2万4129円からの下げ幅(3179円幅)の半値を戻したが、25日移動平均線に抵触したところで十字足となり頭を叩く。ケイ線は翌28日の陰線で「宵の明星」となり、3月1日に343円安の2万1724円と続落している。
◆こうした日足の流れは「アヤ戻り一巡」を暗示する。2月の急落で上昇基調に亀裂を入れただけに、戻り一巡の次は「下落第二波」に進むことも否定できない。そうなる前に、2月14日安値(2万0950円)を支えた200日移動平均線(2万1173円)や52週移動平均線(2万0834円)が節として控えるが、そこで支え切れなければ2万円大台割れ(N波1万9323円、V波1万9400円)を覚悟することになる。
◆カギを握るNYダウ平均や、英FT指数、独DAX、上海総合など海外株式の日足も「アヤ戻り一巡」を暗示する。また、為替(ドル円)のチャートも25日移動平均線(108円近辺)を抜けずに円高基調が続く。こうした流れは昨年までの上昇基調では見られなかったことで、「買い」が飽きられてきた可能性もある。
◆米国景気指標や長期債利回り、パウエルFRB新議長の発言など注目要因はさまざまだが、チャートでポイントにすべきことは、下げに転じた「トレンド」。これは「10年にわたる超過剰流動性相場(バブル相場)の終焉」を意味する。日本株では信用買い残が3兆4400億円に膨れているが、それがすべて「シコリ玉」となりかねない。相場は「需給が最大の要因(材料)」。それだけに、日経平均やNYダウがチャートを好転させるまで様子見も賢明だろう。
(3月1日 記、毎週土曜日に更新)
株探ニュース