仕事はロボット任せの時代へ、“RPA関連株”に刺激材料 <株探トップ特集>

特集
2018年2月28日 19時30分

―間接業務自動化「RPA」の注目高まる、3月27日RPAホールディングス上場もきっかけなるか―

労働人口の減少などによる慢性的な人手不足を背景に働き方改革が叫ばれるなか、企業が取り組むべき重要な課題となっているのが労働環境の改善や業務の効率化だ。この解決策のひとつとして、間接業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入する動きが広がっている。こうした流れを映し、3月27日にはRPAホールディングス <6572> [東証M]が東証マザーズ市場に新規上場する予定で、これが「RPA関連株」の刺激材料となる可能性がある。

●RPA導入で収益力の再構築図る金融機関

RPAは「デジタルレイバー」や「仮想知的労働者」とも呼ばれ、反復的で何らかの決まった手順に則って事務処理が行われるバックオフィス部門(人事や経理、総務、営業管理など)の業務を自動化するシステム。物理的なロボットが作業を支援するのではなく、人間の知能をコンピューター上で再現しようとするAI(人工知能)や、AIが反復して学ぶ「機械学習」といった技術を用いたソフトウエアによってホワイトカラー業務を代行する。例えば、サービスの申し込みや修理などを受け付けた後のコールセンターの事後処理をはじめ、現金決済や会計処理、支払い処理などを自動化することができ、「働き方改革」の課題解決において大きな可能性を秘めた技術として注目されている。

RPAを導入する動きはさまざまな業種に広がっており、なかでも積極的に取り組んでいるのが銀行や生損保といった金融機関。例えば、みずほフィナンシャルグループ <8411> が2026年度末までに行員を約1万9000人削減するとしているほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> は23年度までに9500人分の業務量を、三井住友フィナンシャルグループ <8316> は中期的に4000人分の業務量を削減する方針で、これを実現するうえで重要なカギを握るのがRPAによる業務の効率化だ。また、MS&ADインシュアランスグループホールディングス <8725> 傘下の三井住友海上火災保険や第一生命ホールディングス <8750> なども本格的な導入に乗り出しており、余裕ができた人材を商品開発や営業にまわすことで、収益力の再構築を図っている。

●システムソフトやTISは海外メーカー製品を販売

25年までに全世界で1億人以上の知的労働者がRPAに置き換わり、今後10~20年後にRPAで代替可能な仕事が49%に達するともいわれるなか、市場拡大を見込んで参入する企業が相次いでいる。世界有数のRPAソフトウエア企業である米ユーアイパスの製品「UiPath」について、システムソフト <7527> と伊藤忠テクノソリューションズ <4739> が17年10月から販売をスタートしたほか、ISID <4812> は同年11月から、JFEシステムズ <4832> [東証2]は18年1月から取り扱いを開始。また、米オートメーション・エニウェアの製品は日立ソリューションズ(東京都品川区)やTIS <3626> などが販売し、英ブループリズムの製品はRPAホールディングス傘下のRPAテクノロジーズが取り扱っている。

●バーチャレクとニーズウェルは「WinActor」を販売

このほかで知名度の高い製品には、NTT <9432> の研究所が開発した国産のRPAソリューション「WinActor」や、RPAテクノロジーズのソフトウエアロボット「BizRobo!」などがある。

「WinActor」はNTTデータ <9613> が14年11月から国内販売を開始しているが、17年11月にはバーチャレクス・ホールディングス <6193> [東証M]が、同年12月にはニーズウェル <3992> [JQ]が取り扱いを開始。また、フォーバルテレコム <9445> [東証2]は18年1月、パソコン操作の自動化と複雑な業務やバックエンド業務に至るまでの一連の業務処理を完全自動化するため、「WinActor」とインフォテリア <3853> [東証M]の企業データ連携製品「ASTERIA WARP」とを連動させ、RPAの適用範囲を拡張させた。

●インフォテリアはRPAテクノロジーズとパートナー関係

一方、RPAテクノロジーズは18年1月にSHIFT <3697> [東証M]とRPAロボットの品質保証サービスの共同開発に着手し、3月からサービス提供をスタートする予定だ。また、17年11月にクラウドワークス <3900> [東証M]とRPA分野領域で業務提携しているほか、同年9月にはインフォテリアとパートナー契約を結び、RPAの適用領域を拡張する「BizRobo Smart Connect」のサービスを開始。このほか、17年10月にはソフトバンクグループ <9984> やSBIホールディングス <8473> 子会社のSBIインベストメント、パーソルホールディングス <2181> 子会社のパーソルプロセス&テクノロジーなどがRPAホールディングスに出資している。

●ジェクシード、アイティフォー、LTSにも注目

これ以外の関連銘柄としては、業務自動化ソリューション「Robo-Pat」を手掛けるスターティア <3393> 、17年9月からRPA導入支援サービスを始めたAGS <3648> 、18年2月に対話型AIエンジン「MZbot」を正式リリースした豆蔵ホールディングス <3756> 、RPAの商談機会を獲得していけるよう販売準備を進めているジェクシード <3719> [JQ]に注目。

グループ会社がAI技術を自然言語処理に応用してホワイトカラーの労働生産性向上に取り組んでいるブロードバンドタワー <3776> [JQ]、RPA導入・定着化支援サービスのコムチュア <3844> 、RPAと連携したサービスを提供しているインフォコム <4348> [JQ]、RPA自動ロボを展開しているアイティフォー <4743> 、RPAやAIなどを活用して働き方改革を促進支援するエル・ティー・エス <6560> [東証M]、基幹業務パッケージ「ZeeM」を手掛けるクレオ <9698> [JQ]などにも商機がありそうだ。

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