大塚竜太氏【円高警戒と底抜け日経平均、ここからの対応策は】(1) <相場観特集>

特集
2018年3月5日 18時30分

―2月14日の安値下回り、新たな下値模索局面に移行―

東京株式市場は売り優勢の地合いが続いている。週明け5日に日経平均株価は一時フシ目の2万1000円台を割り込み、一番底とみられていた2月14日のザラ場安値2万950円をも下回った。再び下値模索の動きを強めるなか、投資家もここは買い向かうべきか見送るべきか大いに迷う場面といえる。為替のドル安・円高が大きな重荷となっており、全体相場の戻りを封じている。そこで、今回は株式市場の見通しや為替相場の見通しについて複数の専門家に意見を聞いた。

●「売り一辺倒の相場ではない、買い下がる一手」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

東京市場のムードは、ひと頃の楽観気分が鳴りを潜め急速に悪化していることは事実だが、ここは買い場を探る局面にあるとみている。週末にメジャーSQを控え売り仕掛けが利いている。しかし、売り方にしても1回踏まされている(損失覚悟の買い戻しを強いられた)だけに、どこで買い戻すかに神経を使う相場だ。前日の米国株市場をみてもナスダック指数とS&P500指数はプラス圏で引けている状況で、必ずしも売り一辺倒の流れにあるとはいえない。

トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムの追加関税や輸入制限を打ち出したことが、直近の下落相場の引き金になったとされているが、日本については(北朝鮮問題などの絡みもあって)その対象から外れるのではないかとみている。また、その前の段階でトランプ氏は大幅減税やインフラ投資拡大など株式市場が求めていた重要政策を決めており、強い米国経済にとって、鬼に金棒を持たせるような強力な後押しが見込まれる。東京市場も円高圧力は無視できないとはいえ、好調な米国経済による業績相場の恩恵を無視して売りまくるような地合いが続くことは考えにくい。

日経平均採用銘柄のPERは前週末時点で12.58倍。アベノミクス相場のレンジは14~16倍であったことは広く知られるところであり、13倍を下回る今の水準は需給先行で売られたことによるイレギュラーゾーンとの見方でよい。いつ、どういったタイミングで底を入れるのかは判断が難しいが、遅かれ早かれバリュエーション面で見直される時がくると考えるのが正しい。その意味でここからは買い下がっていく方針で臨みたい。

日経平均の下値は2万500円どころが心理的なフシ目であり、ここを一つの下値メドとみている。また、戻りトレンドに入れば現時点で2万2000円近辺にある25日移動平均線とのマイナスカイ離解消が当面の上値のメドとなる。物色対象は、内需とか外需といった区分けではなく、売り叩かれたものに照準を合わせるのが実戦的だ。ファナック <6954> や安川電機 <6506> などの機械セクターや、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> を筆頭とする銀行セクターなどの下値突っ込み場面は妙味がある。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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