檜和田浩昭氏【相場変調、政局不安に揺れる株と為替の行き先】(3) <相場観特集>

特集
2018年3月19日 20時00分

―4月新年度入りを前に考える視界不良相場への対処法は―

東京株式市場は冴えない動きが続いている。2月14日と3月5日の2万1000円台割れで2点底を形成し出直り途上にあるが、ここにきて国内政局の不安定さが上値を重くしている。期末相場も大詰めを迎えているが気迷い材料は多い。新年度入りを前に投資家はどういうスタンスで臨めばよいのだろうか。また、トランプ保護主義を背景としたドル円相場の動向も気になるところだ。日本株と為替の見通しについて、それぞれ業界の専門家に話を聞いた。

●「新年度入り以降は需給改善期待で相場に明るさも」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

3月末までの年度内は、季節要因もあり国内機関投資家による持ち高調整の売りも想定されるため、積極的に上値を買い進む流れは期待し難い。ただ、4月新年度入りすると、新たな投資資金の配分も想定されるなど、市場のムードはやや明るさを増すことになりそうだ。

海外投資家による日本株への売り越しが継続しているのは、トランプ米大統領が閣僚や高官を相次いで解任していることや、通商政策で中国に対して強硬姿勢を加速するなど、今後の米政権運営に不透明感が増幅しているためだ。国内投資家にとっては、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省による決裁文書の改ざん問題が大きな懸念材料となっている。

今週の焦点は米連邦公開市場委員会(FOMC)だが、今回は0.25%程度の利上げは既定路線で織り込み済みとの見方が多い。市場の関心は、就任後初となるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見で、今後の利上げシナリオ(年内の利上げ回数など)が、どの程度明らかになるかに集っている。

4月入りすると、月の後半から本格化する19年3月期通期の業績予想の発表を前にして、主力企業の新年度の業績見通しの輪郭が市場で取りざたされはじめ、個別銘柄の選別物色がスタートすることになりそうだ。今後1ヵ月間程度の日経平均株価は、2万1000円水準を下値に、上値は2万2500円程度と比較的小幅なレンジを想定している。物色対象は、足もと為替の円高傾向を考慮すると、バイオ関連や小売りなどの内需系銘柄、さらに円高進行でメリットを享受できる輸入関連の銘柄に注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)

1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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