<話題の焦点>=人気の「レシピ動画サービス」、先駆ベンチャーが資金調達を活発化
料理のレシピ動画サービス市場を巡る競争が熱を帯びている。同市場はベンチャー企業が開拓してきた分野で、2016年2月からスタートした「クラシル」のアプリダウンロード数は昨年12月に1000万に到達するなど急成長。ただ、後発企業の追い上げもあり、足もとでは事業のさらなる拡大を目的に、大企業から資金を調達する事例が目立っている。
レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」などを運営するエブリー(東京都港区)は12日、KDDI<9433>と資本・業務提携したと発表。エブリーはKDDIを引受先とする第三者割当増資で約30億円を調達するとともに、両社で7月をメドに生中継動画で商品を販売する「ライブコマース」事業に乗り出す予定だ。エブリーは15年9月の創業で、17年12月には伊藤忠商事<8001>やGMOインターネット<9449>傘下のGMO VenturePartners、AOI TYO Holdings<3975>のベンチャーファンドなどから約20億6000万円を調達している。
また、国内最大のレシピ動画サービス「クラシル」を運営するdely(東京都品川区)は1月、ソフトバンクグループ<9984>やアカツキ<3932>、ユナイテッド<2497>などを引受先とする総額33億5000万円の第三者割当増資を実施。同社は調達した資金で、「クラシル」の事業拡大のほか、さらなる収益の柱となる新規事業の創出やそれに伴うM&Aなどを積極的に行うとしている
こうした背景には、レシピサイト大手のクックパッド<2193>が参入するなど競争が激化していることがある。同社は昨年12月に料理動画事業に本格参入し、各流通チェーンの販売計画と連動した料理動画「クックパッド ストアティービー」の配信や、誰でも簡単に動画撮影ができるスタジオの開設など、ユーザーを動画分野に引き込む戦略を実施。今月8日には、プロの料理家や料理上手な有名人とライブ配信で一緒に料理が楽しめるクッキングLIVEアプリ「cookpadTV」をリリースした。
このほか、製菓食材の販売などを手掛けるタイセイ<3359>も顧客開拓に動画を活用。自社のインターネット通販サイト「cotta(コッタ)」の公式SNSを通じて菓子・パンづくりの動画を配信しており、特に著名シェフやパティシエによるライブ配信が好評で、コッタの認知度向上や集客力アップにつなげている。
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)