田部井美彦氏【新年度相場が開幕、株式市場の全面開花はいつ?】(3) <相場観特集>

特集
2018年4月2日 20時00分

―強弱感対立のなか、日経平均株価の上値どこまで―

名実ともに2018年度相場入りとなった。東京では例年よりだいぶ早い桜の開花となったが、株式市場ではまだ春爛漫とは言い切れない地合いにある。しかし、3月下旬に大底が入り、その後は強弱感を対立させながらも上値指向をみせている。投資家マインドも徐々に暖まりをみせるなか、4月相場で全面開花といくのかどうか。先読みに定評のある市場関係者3人に当面のマーケットについて読み筋を聞いた。

●「4月相場は株式需給好転で2万2000台での推移に」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

貿易摩擦の動向が今後の日経平均株価 に影響を与えることになる。米通商代表部(USTR)は3月30日、外国の貿易障壁に関する年次報告書を発表した。そのなかで、日本に対しては牛肉などの農業分野、自動車分野の関税・非関税障壁を批判し、一層の市場開放を求めている。4月中旬にも米国で開かれる日米首脳会談や、日米経済対話を通じ、対日要求を強めてくる。ただ、対象品目や交渉内容が具体化することで、徐々に不透明感が払拭されて、株価面ではプラスの評価となる可能性もある。

一方、森友学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書の改ざん問題は、衆参両院の予算委員会での佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が終了したことで、株価に織り込まれつつあるとの見方も出ている。ただ、大阪地検特捜部は現在捜査中であり、9月の自民党総裁選に向けて、今後も紆余曲折や政局波乱となる可能性は否定できない。

4月相場は株式需給の面で改善が見込めることからジリ高歩調となりそうだ。4月は、海外投資家の売買動向にとって特異月で、昨年まで17年間連続で日本株の買い越しを続けてきたという実績があり、年初からほぼ売り越し状態の外国人投資家が買い越しに転じる可能性がある。4月の日経平均は、2万2000円台で推移し、6~7月には2万4000円台回復を予想している。

個別銘柄では、月次の訪日外国人客数が前年同月を上回り続けていることからも、インバウンド関連 に注目している。HANATOUR JAPAN <6561> [東証M]は、インバウンド専門の旅行会社で、団体客向け手配業務に加え、観光バスやホテル事業にも進出している。もうひとつインバウンド関連として、ビジョン <9416> がある。主力のWebマーケティング支援事業で安定収益を確保する一方で、成長期待のWi-Fiルーターレンタルや携帯型翻訳機の拡大を目指している。三つ目は、昨年3月に発売し1年を迎えた「ニンテンドースイッチ」の売れ行きが今なお好調で、段ボールで作った模型をゲームコントローラーのアタッチメントにする「ニンテンドーラボ」を4月20日に発売する任天堂 <7974> に注目。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)

内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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