雨宮京子氏【米株暴落でも買い優勢! 東京市場は変わったか】(1) <相場観特集>
―日経平均のここからの上値余地と上昇期待の個別株を探る―
週明け9日の日経平均株価は強さを発揮した。前週末の米国株市場ではNYダウが一時750ドルを超える暴落モードとなり、この波乱相場を受け東京株式市場もリスク回避ムードが高まることが予想されたが、フタを開けてみればさにあらず。前場こそ若干売りに押される場面はあったものの後場は一段高に切り返した。果たして新年度相場に入って地合いに変化はあったのか。待ち望んでいた上昇転換への手応えとここからの有望株について、市場第一線で活躍する関係者2人に意見を聞いた。
●「内需好調で好実態のテーマ株に活躍余地」
雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)
今の東京株式市場は2つの顔を持っている。つまり主力輸出株は向かい風が強いが、そのぶん内需系のテーマ株はむしろ買いの勢いが増しているということ。企業の決算発表を控えファンダメンタルズから不安心理は拭えないものの、これは米中貿易摩擦や為替動向に左右される輸出大型株に限定されている。安川電機 <6506> などの値動きを見ると、今週12日予定の決算発表におけるガイダンスリスクを恐れているということがありありと分かる。しかし、これがイコール全体の地合いではない。国内経済は堅調でありこれが一部の消費関連や不動産セクターなど内需株の好調に反映されている。
全体観としては強過ぎず弱過ぎずの展開で、4月~5月の日経平均はボックス圏推移とみている。下値は2万800円近辺を下限とし、上値は2万2400円前後を上限とする上下1600円のゾーンを往来するイメージだ。米中貿易摩擦への懸念は一朝一夕に解消できるものではない。しかし、これが世界景気に影響を及ぼすと過度に悲観するのは賢明ではない。実際、相場は以前と比べ“トランプ発言”に振り回されにくくなっている。9日の東京市場が買い優勢となった動きなどはそれを感じさせる。
スケジュール的には4月17~18日の日米首脳会談に注目が集まりそうだ。ここを通過するまでは主力株は手掛けにくく、すなわち日経平均も方向感のはっきりしない展開を強いられるだろう。したがって、銘柄も内需系の銘柄を中心に組み立てたいところだ。
まず新興市場では、昨年10月にマザーズに上場したシルバーライフ <9262> [東証M]。同社は高齢者向け配食サービスのフランチャイズを運営し、食材販売も手掛けているが業績は好調が続いている。4月末に1株を2株にする株式分割を控えていることもポイントだ。また、直近IPO銘柄では、ブランド品や美術品の買い取り販売を手掛ける「なんぼや」を展開しているSOU <9270> [東証M]も収益絶好調で要注目となる。さらに、東証1部への市場変更で機関投資家の買いが見込まれる再生エネルギー関連のレノバ <9519> も面白そうだ。同社も4月末に1株を2株にする株式分割を予定している。
このほか、苛性ソーダの値上げ寄与が見込めるトクヤマ <4043> やインバウンド特需を取り込む化粧品大手のコーセー <4922> などにも着目している。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。
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