新興市場見通し:中小型株に幕間つなぎの物色も需給面重視、IPOではHEROZ

市況
2018年4月14日 15時16分

先週の新興市場では、日経平均に比べマザーズ指数や日経ジャスダック平均の軟調ぶりが目立った。マザーズでは時価総額上位の主力株を中心に値動きの悪さを嫌気した売りが続いた。また、地政学リスクに対する警戒感の高まりや信用損益の悪化なども重しとなったようだ。東証1部の材料株や好決算銘柄に資金が向かった面もあるとみられ、マザーズ売買代金は1000億円を下回る日が続いた。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.0%であったのに対して、マザーズ指数は-1.9%、日経ジャスダック平均は-0.8%だった。

個別では、ミクシィ<2121>が週間で1.3%安、サイバーダイン<7779>が同3.7%安となるなどマザーズ時価総額上位は全般軟調で、そーせいグループ<4565>は同11.0%安と下げが目立った。売買代金上位ではブティックス<9272>、RPAHD<6572>、神戸天然物化学<6568>といった直近IPO銘柄が利益確定売りに押され、前週上場のビープラッツ<4381>が初値高騰の反動で週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、ユナイテッド<2497>やフィル・カンパニー<3267>は逆行高。フィル・カンパニーは業績上方修正を発表している。また、株式分割実施を発表したAMBITION<3300>、QRコード決済拡大への思惑が強まったメディアシーク<4824>などが上昇率上位だった。ジャスダック主力は高安まちまちで、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は同2.8%高となった。第4四半期の受注高、売上高が好調だった。海外ファンドの大量保有報告書提出が観測されたフェローテックHD<6890>は同10.9%高。その他売買代金上位では提携観測が報じられたオンキヨー<6628>が大きく買われ、第1四半期決算が好感されたリーバイ・ストラウス ジャパン<9836>が週間のジャスダック上昇率トップだった。反面、今期減益見通しの幸和製作所<7807>が下落率トップとなった。IPOでは、4月10日上場のヒューマン・アソシエイツ・HD<6575>が公開価格の約3.1倍、11日上場のコンヴァノ<6574>が同2.4倍となる初値を付けた。

今週の新興市場では、需給面で銘柄選別する動きが強まりそうだ。主力大型株の決算発表が本格化する前に、中小型株に幕間つなぎ的な物色が向かう場面もあるだろう。ただ、マザーズ主力株などはこのところの株価下落により戻り待ちの売りが出やすく、地政学リスクの高まりも個人投資家の買い手控えにつながりやすい。値動き、需給とも良好な銘柄に物色が集中する格好になりそうだ。

今週は、4月16日にティーケーピー<3479>、マネーフォワード<3994>などが決算発表を予定している。ティーケーピーは1月に発表した第3四半期決算で顧客単価や稼働率の上昇が評価された。今回発表される前期決算や今期見通しも注目されそうだ。フィンテック関連として注目されるマネーフォワードは第1四半期決算を発表する。また、米主要企業の決算や20日の新ゲームソフト「Nintendo Labo」発売なども物色材料となりそうだ。

IPO関連では、4月20日にHEROZ<4382>がマザーズへ新規上場する。AI(人工知能)開発ベンチャーとして4月IPOのなかでも注目度が高い。ベンチャーキャピタル株主が見られるものの、公開規模は9億円弱と小さいため、初値を大きく飛ばしそうだ。また、同社の上場発表時のように、他のAI関連株にも物色が波及する可能性がある。

《FA》

提供:フィスコ

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