高橋春樹氏【見えてきた日経平均2万3000円のステージ】(2) <相場観特集>
―円高から円安へ、地政学リスク後退で日本株はどこを目指す―
週明け23日の東京株式市場は戻り売り圧力が意識される展開で、日経平均株価は続落を余儀なくされた。しかし、外国為替市場で円安傾向にあるなど風向きは悪くはなく、主力輸出株の下値では広範囲にわたり押し目買いも観測された。毎年この時期は決算発表を絡め神経質な展開となるのが通例だが、市場第一線で活躍する業界関係者の目にはどう映っているのか。ゴールデンウイーク明け後の相場をにらみ、その見通しを聞いた。
●「日本株巡る複数トレンドが好転し上昇に期待感」
高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)
ここにきて、日本株を巡る複数のトレンドが好転をみせている。日経平均は、3月26日の年初来安値から約2000円の上昇をみせ、2万2000円台固めの動きとなってきた。さらに、海外投資家が4月第1週(2~6日)の投資主体別売買動向(東証、名証2市場の合計)で、13週ぶりに買い越しに転じ、同第2週(9~13日)も買い越しを続けている。
また、日経平均の短期、中期、長期のそれぞれの移動平均線が2万2000円近辺の水準に徐々に収束しつつあり、これが調整終了のシグナルとなって中長期的な上昇相場が期待できそうだ。2万2300~2万2500円の価格帯は、戻り売りによりやや足踏み状態になる懸念はあるものの、2万2500円を超えてくれば、1月23日につけた年初来高値2万4129円も射程圏に入りそうだ。
市場の関心は、発表が本格化する18年3月期決算と19年3月期の業績見通しに集まっている。19年3月期業績見通しについては、企業側の“慎重見通し”発表に対する懸念は根強いものの、3月に円相場の1ドル=104~105円台を経験し、足もとの円相場が1ドル=107円台後半と円高一服商状となっていることから、“ガイダンスリスク”への警戒感はやや和らいでいるようだ。ただ、注視しておきたいのは米長期金利で、急激な上昇に伴う米株価の下落が日本株にもマイナス影響をもたらす可能性がある。
物色対象としては、これまで同様に、IT関連の旺盛な設備投資意欲で恩恵を享受する外需銘柄と、小売業に代表される需要好調な内需銘柄を交互に循環物色する流れが継続することになりそうだ。日経平均が2万3000円を突破してくれば、全面高局面も訪れそうだ。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。
株探ニュース