米国株式市場見通し:FOMC議事録に注目
今週は政治・地政学リスクに注意が必要だ。21日にポンペオ米国務長官がイラン政策を発表し、23日から25日の間には北朝鮮が核実験場を廃棄する予定だ。2度の直接交渉を行った米中貿易交渉は決着がつかず、先行き不透明感が広がっている。在イスラエル米大使館のエルサレム移転を巡る地政学リスクも完全には払拭されておらず、株式市場は神経質な展開が続くだろう。20-21日開催の主要20カ国・地域(G20)外相会合や23日公表のFOMC議事録にも注目が集まりそうだ。議事録では6月利上げの可能性についてFOMCメンバーがどのような議論を行ったのかに注目したい。G20では米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限措置に関する議論が焦点となりそうだ。
個別企業では、小売のコールズ(22日)、ディスカウントストアのTJX(22日)やターゲット(23日)、ホームセンターのロウズ(23日)、小売大手のシアーズ・ホールディングス(24日)、ゲーム小売のゲームストップ(24日)、アパレルのギャップ(24日)など、複数の小売決算発表が予定されている。ゲームストップは、著名投資家のジュリアン・ロバートソンが創業したタイガー・マネジメントが経営戦略の見直しを要求したことが明らかとなり、決算発表で何らかの発表があるか注目したい。ギャップは不採算店の閉鎖や品揃えの見直しにより業績が回復軌道に乗りつつあるとの期待から株価が上昇しており、更なる業績改善に期待したい。
百貨店のメーシーズは、決算発表後に11%上昇した一方で、JCペニーは、決算発表で既存店売上高が予想を下回り、通期見通しを下方修正したことで12%下落したほか、ノードストロームやホームセンターのホーム・デポ、小売最大手のウォルマートも決算内容が予想に届かず、発表後に下落した。4月に寒冷な気候が続いたことで客足が遠のいたことが、小売各社に軟調決算が相次いだ要因であり、今週の小売決算も軟調な内容が予想される。
経済指標では、4月新築住宅販売件数(23日)、3月FHFA住宅価格指数(24日)、4月中古住宅販売件数(24日)、4月耐久財受注(25日)などの発表が予定されている。4月の住宅着工・建設許可件数が減少し、住宅市場の停滞が続いている。住宅ローン金利が大きく上昇していることもあり、新築住宅販売件数は落ち込みが予想される。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ