来週の相場で注目すべき3つのポイント:米韓首脳会談、G20外相会合、ソニー中期経営方針
■株式相場見通し
予想レンジ:上限23500-下限22500円
来週の東京株式市場は、日経平均23000円をはさんだもみあい商状になりそうだ。日経平均は3月26日のザラバ安値20347.49円から18日ザラバ高値22954.19円まで上げ幅で2600円強(約11.3%)を見ており、週足も8週連続の陽線で日柄調整の側面も意識される。ここまでの日経平均の戻りをリードしてきた米国株式市場も、長期金利と為替の動向、6月12日の米朝首脳会談の実施懸念、協議終了後の米中貿易摩擦問題の行方、イランを軸とする中東情勢などから戻りが鈍くなり始めている。特に米長期金利の上昇にNYダウが過剰反応した場合の余波が懸念される。しかし、こうした懸念材料を抱えながらも売り込むことが難しい環境でもある。5月第2週(7-11日)の投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場、1・2部合計)で海外投資家は、現物株ベースで前週の17億円の買い越しから12億円の売り越しに転じた。しかし、現物株と先物合計の売買では、2262億円の買い越しと前週の994億円から拡大し、買い越しは6週連続となっている。また、企業業績面も一段の売り材料になりにくくなっている。国内大手証券によると、11日現在におけるTOPIX(東証株価指数)構成企業(全体1460社、開示率80.2%)の2019年3月期決算(金融除く)は会社予想で売上高2.5%増、営業利益1.8%増、当期純利益1.6%減と当初の大幅減益懸念は後退しているという。18日の外国為替市場で、一時1ドル111円ちょうど近辺まで円安・ドル高が進行するなど、日経平均寄与度の高い輸出関連企業にとっては為替動向がプラスに働いており、相場の下支え要因となろう。
膠着した相場が予想される中で、来週は相場の方向性を見極める展開となりそうだ。物色的にはジャスダック平均、マザーズ指数に比べて東証2部指数の強さが光り、その物色人気をリードするリミックスポイント<3825>、フライトホールディングス<3753>などの個別材料株の動きが引き続き関心を集めることとなりそうだ。テーマ的には住宅宿泊事業法の6月15日施行を控えた民泊関連、6月12日からの「E3」開催をにらんだ任天堂<7974>などゲーム関連、6月19日IPO予定のメルカリ<4385>関連あたりに動きが出てくる期待がある。こうしたなかで、22日午前11時からソニー<6758>が中期経営方針を発表する。4月に就任した吉田憲一郎新社長が説明の登壇に立つ。前期は20年ぶりに営業最高益を更新したソニーだが、今3月期は8%減益予想で失望売りを誘い、株価は一時下落していた。トヨタ<7203>、ソフトバンク<9984>と並んで注目度および相場への影響度が高いカリスマ性を持つ銘柄だけに、その内容が注目される。
主な経済関連スケジュールは、国内では21日に4月貿易統計、23日に3月全産業活動指数、25日に5月都区部消費者物価指数、気象庁の3カ月予報、住友生命保険、日本生命保険、明治安田生命保険の3月期決算が発表される。海外では、21日に米4月シカゴ連銀活動指数、23日に5月1日から2日開催のFOMC議事録要旨、米4月新築住宅販売件数、米週間石油在庫統計、24日に米4月中古住宅販売件数、25日に米4月耐久財受注の発表がそれぞれ控える。なお、3月の貿易収支は7973億円の黒字で16カ月連続の増加を見ている。一方、その他イベントとしては21日にG20外相会合(ブエノスアイレス)、22日に米韓首脳会談、25日にアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合、26日にはモスクワでの日ロ交流年開幕式のため安倍首相がロシアを訪問する。なお、5月28日はメモリアルデーなどで米英市場が休場となる。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ継続の方針を堅持する一方、他の主要中央銀行は金融引き締め(利上げ)を急がないことから、米国との金利差拡大を背景にドル選好地合いは継続するとみられる。ただ、中東情勢の悪化に警戒が広がれば、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる展開も想定したい。
FRBは今年3回ないし4回の利上げを行う可能性が高いこと、長短金利差の逆転現象は起きないとの見方が多いことから、米10年債利回りは3%を上回る水準で推移している。23日に公表される5月1-2日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で6月の追加利上げが確認できれば、それを織り込むドル買いが強まりそうだ。ただ、利上げペースの加速についてはFOMC内でも見解が分かれている。経済指標は堅調な内容が目立つものの、金利上昇は経済成長の鈍化につながるとの景気認識が示された場合、ポジション調整的なドル売りが増える可能性もある。
地政学リスクに対する市場の警戒感は消え去っていないこともドル上昇を抑える要因となる。特に中東情勢の悪化は、今後の懸念材料か。トランプ政権はイスラエルの首都をエルサレムと認定し、イスラエルはパレスチナ、あるいはイランとの対立が激化している。イラン核合意の米国の離脱問題もあり、地政学リスクの増大が懸念されている。また、北朝鮮が南北閣僚級会談の突然の中止を表明したことで、来月12日開催予定の米朝首脳会談に不透明感が広がっている。北朝鮮が首脳会談の無期延期、中止を通告した場合、リスク回避の円買いでドルの上値は押さえられる可能性もある。
■来週の注目スケジュール
5月21日(月):米シカゴ連銀全米活動指数、アルゼンチンG20外相会合など
5月22日(火):米韓首脳会談など
5月23日(水):欧ユーロ圏製造業PMI、米製造業PMI、北朝鮮の豊渓里核実験場廃棄式典など
5月24日(木):英小売売上高指数、米FHFA住宅価格指数など
5月25日(金):米耐久財受注、独IFO企業景況感指数、消費者物価指数など
5月27日(日):コロンビア・大統領選挙(第1回投票)、決選投票の場合は6月17日実施
《SK》
提供:フィスコ