<話題の焦点>=国内物流でモーダルシフトが進展

特集
2018年5月24日 12時10分

物流業界で貨物や製品の輸送をトラックから鉄道や内航船・フェリーに切り替える、モーダルシフト(輸送手段の転換)が進展している。トラックに比べ一度に大量の輸送が可能で、CO2排出量も削減できるほか、ドライバーの人出不足や長距離運転による長時間労働などが社会問題化したことで注目を集めている。国土交通省が荷主・物流事業者を中心とする多様・広範な関係者の連携のもと推進していることもあり、各社が取り組みを強めている。陸運と海運、それぞれの業界の動きを追った。

●陸運業界は鉄道輸送を推進

前週末の5月18日にストップ高で市場の注目を集めたセイノーホールディングス<9076>だが、傘下の西濃運輸は5月9日、同社として初めてとなる専用貨物列車の運行開始に伴い、大阪の吹田貨物ターミナル駅で出発式を行っている。大型トラック60台分の輸送を段階的に貨物鉄道へモーダルシフトしていく構えだ。

また、日本通運<9062>は4月、国内ビール4社が実施する関西・中国~九州間の共同モーダルシフトをサポートすると発表した。専用列車と空きコンテナの輸送枠を活用して商品を配送することで、合理化と効率化を図る方針だ。

一方、異業種共同輸送の取り組みも進んでいる。SGホールディングス<9143>グループの佐川急便は昨年9月から愛知県~岩手県の宅配便輸送(31フィートコンテナ1台分)をトラックからトヨタ輸送が運行する鉄道「TOYOTA LONGPASS EXPRESS」へと切り替えた。佐川急便は東京~大阪間を6時間で結ぶ特急コンテナ電車「スーパーレールカーゴ」を2004年から運行している モーダルシフトの先駆的企業だ。

●海運業界は輸送機能を拡充

川崎近海汽船<9179>は6月に宮古~室蘭航路を開設するほか、16年10月に隔日運航で開設した清水~大分航路を3月5日からデイリー化している。同社は4月27日に中期経営計画を発表し、モーダルシフトの促進で海上輸送需要の掘り起こしに取り組むとしている。

また、センコーグループホールディングス<9069>傘下のセンコーは4月1日、モーダルシフトの強化に向け、グループの海運事業を担う会社としてセンコー汽船を設立。同社株価は5月11日に年初来高値を更新した。

このほか、5月26日に苫小牧を出港する便から清水港への定期寄港を開始する栗林商船<9171>にも注目したい。同社が運航している東京と大阪を結ぶ航路の中間に位置する東海地区の主要港湾の清水に寄港を開始することで、同航路のモーダルシフトの受け皿としての利用をさらに進める狙い。

日本郵船<9101>の子会社・近海郵船や商船三井<9104>の子会社・商船三井フェリーも運航船を積極的に新造船へと切り替えており、モーダルシフト需要の取り込みを進めている。

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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