テラスカイ Research Memo(4):クラウドインテグレーションの技術開発力と豊富な人材が強み

特集
2018年5月24日 15時07分

■クラウド市場の動向と事業内容

3. 強み

テラスカイ<3915>の強みは大きく3つにまとめることができる。第1に、同社の導入実績の多さである。2017年10月時点のクラウド導入実績で3,000件以上となっており、プロジェクト・マネジメントや品質管理なども含めて多様なノウハウが蓄積され、様々な顧客ニーズに対応できる点にある。また、大型案件については受注できる会社が限られており、同社に競争優位性がある。

第2に、エンジニアの圧倒的な数と質である。これは、クラウドサービスの認定資格取得者数からうかがうことができる。SalesforceMVPは国内で8名(2018年3月1日時点)しか取得していないが、うち2名が同社に在籍しているほか、認定テクニカルアーキテクトも11名中4名が同社に在籍している(2018年3月1日時点)。そのほか、認定上級Platformデベロッパー、認定Platformアプリケーションビルダー、認定上級アドミニストレーター、認定Platformデベロッパー、認定Sales Cloudコンサルタント、認定Service Cloudコンサルタント等の多くの資格取得者数で国内1位となっている。また、AWSの認定資格取得者も多数在籍している。認定資格取得者数は受注能力にほぼ比例するため、同社がSalesforceの開発・導入支援で国内トップの実績及び能力を持っていると言っても過言ではない。また、これら資格取得者数をいかに増加させていくことができるかが、今後の成長のカギを握るとも言える。なお、Salesforceの認定資格取得者数の2番手クラスとしては、PwCコンサルティング(合)やアクセンチュア<ACN>、アビームコンサルティング(株)等のコンサルティング会社や、NTTデータ<9613>、日本アイ・ビー・エムなどの大手IT企業が並んでいる。

同社ではエンジニアの入社後は、こうした認定資格の取得を目指すため約半年の教育・研修を行い、資格を取得した後に実践部隊として現場に投入している。資格取得等の人材育成は企業が成長していくためのコア・コンピタンスとして位置付けており、同社の成長の原動力となっている。また、給与水準や労働時間などの労働環境も優秀な人材が在籍しやすいよう配慮しており、エンジニアの定着率も業界平均と比較して高くなっているものと見られる。単独ベースの従業員数は2018年2月期末時点で262名だが、このうち7?8割はエンジニアで占められ、残り2割が営業部門、1割が管理部門の人材となっている。

第3に、SalesforceやAWSなどクラウドの複数プラットフォームをカバレッジしている点も強みとなっている。複数のプラットフォームの開発が可能なため、顧客の多様なニーズに対応でき受注件数の拡大につながっている。なお、Salesforce及びAWSは、前述したようにPaaS、IaaSにおいて市場シェアが世界トップクラスであるだけでなく、直近でも高成長が続いている。こうしたクラウドサービスの旺盛な需要が、同社の売上拡大につながっていると言える。

4. 事業リスク

事業リスクとしては、旺盛な需要に対応するだけのエンジニアの確保が挙げられる。エンジニアの採用・確保が予定どおり進まない場合は、受注を拡大していくことが難しくなるためだ。ただ、株式上場により知名度が向上したことで人材の獲得も以前と比較すると進みやすくなっている。また、受注案件が大型化するほど不採算案件が発生しやすくなるといったリスクもある。クラウドシステムはオンプレミス型のシステム開発と比較して開発期間が短期間で済むため、不採算プロジェクトの発生リスクは低いものの、進捗管理がおざなりになれば不採算となる要因ともなる。同社ではプロジェクト管理部門を独立して設け、情報の共有と進捗管理を行い、苦戦プロジェクトを支援する体制を構築したことで、ここ数年は不採算プロジェクトも減少傾向となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.