高橋春樹氏【方向感定まらぬ東京市場、6月相場はこう動く】(3) <相場観特集>
―トランプ米大統領に振り回される相場、ここからの展望は―
週明け28日の東京株式市場は前週末終値近辺で売り買いを交錯させる展開。全体売買代金が縮小傾向のなかで様子見ムードが色濃かったものの、売り圧力も限定的で下値を試すような動きもみられず、結局日経平均株価はプラス圏で着地した。前週は荒れた相場だったが、足もとの小康状態は何を意味するのか。反転への足掛かりを探す動きか、それとも一段の下落リスクを警戒すべき局面か。あすから実質6月商いとなるなか、市場第一線で活躍する識者にその見通しを聞いた。
●「6月相場は様子見姿勢強まり踊り場状態に」
高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)
6月相場も、3月26日につけた日経平均の安値(2万347円49銭)を起点とした長期上昇トレンドのなかにある。ただ、6月は12日に予定される米朝首脳会談をはじめ、中旬に日米欧の金融政策決定会合が相次いで開催されるなど、重要イベントが目白押しのなか、様子見姿勢が強まりそうで、7月以降の上昇相場に備えた“踊り場”の状態となりそうだ。
3月期決算企業の業績発表が佳境を迎えているころには、日経平均のEPSは1720円程度まで上昇していたが、現状は1650円水準にまで低下している。一方で、日経平均のPERは、12.8倍台まで低下していたものが、株価の上昇で現状は13.5倍程度へ上昇をみせている。ここからの一段の株価上昇のためには、業績面で何らかのプラス要因が必要となる。
NYダウ平均株価 は、このところ方向感に乏しい展開となっている。ただ、米国株を幅広く網羅している代表的な小型株指数の「ラッセル2000」は過去最高値を更新する頑強な推移となっており、この動きがナスダック総合指数、S&P500、NYダウ平均株価へと徐々に波及することが想定される。一方、米司法省は6月12日に、米通信大手AT&Tによる米メディア大手タイムワーナーの買収計画を巡る裁判で判決を下すことになっており、買収が容認されればIT関連銘柄には追い風となりそうだ。
6月の日経平均の想定レンジは、上値は2万3000円程度、下値は2万2000円水準とみている。外国為替市場では、今後極端に円高・ドル安が進行する可能性は限定的となりそうだ。日本株の物色対象としては、株価が上昇一服となっている半導体関連や、ファナック <6954> に代表される値がさのFA関連の機械株に注目している。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。
株探ニュース