富田隆弥の【CHART CLUB】 不安が燻ぶる「夏」
◆日経平均株価は5月21日2万3050円高値から30日に2万1931円まで下落した。2週間で1100円下げて75日移動平均線(2万1924円)や200日線(2万1779円)に迫った。3月26日安値2万0347円から2万3050円までの上げ幅2703円に対し41%の調整を入れ、週足の13週移動平均線(2万2000円)に差し掛かったこともあり「調整一巡」との見方も出てこよう。高値から9日が経過し、雲(先行スパン)クロスに向けての調整でもあり、確かに日足的には一旦下げ止まってもおかしくないところだろう。
◆だが、週足ではチャートの雰囲気がかなり異なる。週足は1月23日高値2万4129円から3月26日まで3782円下落し、5月21日までのアヤ戻りを経て次の下落(二段下げ)が始まったという見方もできる。したがって、目先上昇しても高値2万3050円を更新するまでは安心できないだろう。
◆カギを握るNYダウは2万4000ドル台でもみ合いが続くが、1月高値2万6616ドルが君臨したままで、週足は二段下げリスクを払拭できないでいる。6月入りから夏相場となるが、バカンス、お盆、夏枯れなどの言葉があるように夏は調整しやすいところだけに日米とも「二段下げ」リスクをまだ孕んでいることは忘れてはなるまい。
◆直近の調整は米朝首脳会談やイタリアの政局などを懸念したものだが、相場はリーマンショックから9年、三段上げで大きく上げてきた。「イイところ取り」で上げてきたこれまでと異なり、今年は懸念要因や利益確定売りの出やすいところと言える。米国の金利上昇、長短金利接近、最高水準のカードローン残高、新興国の通貨&株価下落、南欧の不安再燃、そして1月の高値期日(7月下旬)など懸念要因は少なくなく、この「夏」は様子見も一策と考える。
(5月31日 記、毎週土曜日に更新)
株探ニュース