新興市場見通し:メルカリなどBB開始、新興市場は上値重く小型株選好強まる(訂正)
下記のとおり修正します。
(誤)6月19日上場のラクスル<4384>
(正)5月31日上場のラクスル<4384>
先週の新興市場では、週半ばにかけてマザーズ指数や日経ジャスダック平均が下落した。欧州政治リスクへの警戒感などから米株安や為替の円高とともに日経平均が下落し、新興市場でもリスク回避の動きが広がった。その後は過度な懸念が和らぐとともにやや値を戻したが、週末には米5月雇用統計の発表も控えるとあって伸び悩んだ。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.2%であったのに対して、マザーズ指数は-2.2%、日経ジャスダック平均は-0.6%だった。
個別では、ミクシィ<2121>が週間で8.5%安、サイバーダイン<7779>が同5.1%安、ジャパンインベストメントアドバイザー<7172>が同11.1%安とマザーズ時価総額上位の一角で下げが目立った。そーせいグループ<4565>は同2.5%高とやや値を戻した。売買代金上位ではALBERT<3906>やディジタルメディアプロフェッショナル<3652>などが利益確定売りに押され、パルマ<3461>が週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、フィンテックファンドへの参画などが材料視されたマネーフォワード<3994>が大きく買われ、JMC<5704>やテモナ<3985>が上昇率上位に顔を出した。ジャスダック主力では、目標株価引き下げ観測のハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同11.3%安となり、エン・ジャパン<4849>も同7.4%安と下げが目立った。高バリュエーション銘柄で売り圧力が強まった。また、防衛関連の細谷火工<4274>や新株予約権発行を発表したリプロセル<4978>が週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。反面、仮想通貨事業進出への思惑が広がるやまねメディカル<2144>、提携が材料視されている岡藤HD<8705>が引き続き大幅高となった。強い値動きの銘柄が物色を集める展開だった。IPOでは、5月31日上場のラクスル<4384>が大型のマザーズ上場案件ながら公開価格を上回る初値を付け、その後も活況を見せた。
今週の新興市場では、マザーズ指数が引き続き上値の重い展開となる可能性がある。ラクスルの活況ぶりなどから、個人投資家の資金余力の大きさや物色意欲の根強さが窺える。しかし、外部環境に対する警戒感も強く、全体として出直り機運が高まっているとは言いづらい。また、後述のとおりメルカリ<4385>など6月IPOのブックビルディング(BB)が始まり、需給面の重しとなる。需給良好な銘柄や値動きの軽い小型株が選好されやすいだろう。
今週は、6月6日に日本スキー場開発<6040>、8日にフルスピード<2159>、アイル<3854>、アイリッジ<3917>、HEROZ<4382>、イトクロ<6049>、シルバーライフ<9262>などが決算発表を予定している。HEROZは今年4月の上場時、公開価格の約10.9倍という記録的な初値を付けて話題を集めた。その後ややきつい調整となったが、上場後初の決算発表で改めて期待が高まるか注目される。
IPO関連では、注目のメルカリが6月4日から8日までBB期間となる。1日に発表された仮条件は2700円~3000円となり、目論見書の想定仮条件(2200円~2700円)を上回る水準で決定した。機関投資家等からの評価の高さが意識されそうだ。BBにおける需要状況を注視したい。なお、先週はMTG<7806>(7月10日、マザーズ)など3社の新規上場が発表されており、現時点のIPO件数は6月13社、7月3社となっている。
《FA》
提供:フィスコ