米国株式市場見通し:米中貿易摩擦の動向を注視
先週のFOMCでは利上げが実施され、年内の追加利上げ見通しも引き上げられた。今回発表された経済見通しでは、今年のインフレ率がFRB(連邦準備制度理事会)が目標に掲げる2%を上回るとの予想も示され、当局が米経済や雇用情勢に自信を持っていることが確認された。しかし、トランプ政権による中国との貿易摩擦や輸入関税策への懸念が続いているほか、22日開催のOPEC総会で減産合意が解消となれば、原油相場が下落し、物価の押し上げ圧力が弱まるなど景気下振れリスクにも注意が必要だ。
AT&Tによるタイムワーナー買収が承認されたことで、メディア業界の再編機運が高まっている。AT&Tはタイムワーナーだけでなく、ケーブルテレビのHBPとワーナーブラザースの映画スタジオ及びテレビ局を傘下に収める。司法省はメディアの配信とコンテンツ制作が1つの会社で行われることによる価格操作の危険性を指摘していたが、インターネットやスマートフォンの発明でメディアと配信の業界構造が変化しており、そのような主張は弱まりつつある。足元では、ウォルト・ディズニーとコムキャストが、21世紀フォックスの一部資産を巡る買収合戦を激化させており、通信・メディア関連銘柄の物色が広がりそうだ。
今週はソフトウェアのオラクル(19日)やレッドハット(21日)、運輸のフェデックス(19日)、半導体のマイクロン・テクノロジー(20日)、食品小売のクローガー(21日)などの発表が予定されている。複数アナリストがマイクロン・テクノロジーの業績見通しが予想を上振れるとの見方を示しており、注目が集まりそうだ。一方で、オラクルはJPモルガンによる市場調査で、同社製品への支出を控える動きが確認されており、業績悪化への警戒感が広がっている。
経済指標関連では、6月NAHB住宅市場指数(18日)、5月住宅着工・建設許可件数(19日)、5月中古住宅販売件数(20日)、4月FHFA住宅価格指数(21日)、5月景気先行指数(21日)などの発表が予定されている。4月の住宅着工・建設許可件数はともに3月から減少し、住宅市場の低迷が示された。一方で、5月NAHB住宅市場指数が17年12月以来で初の上昇となり、住宅市場の回復を確認できるかが焦点となる。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ