【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 大型人気株IPOに想う、賢明なる投資家であれ
「大型IPOに想う、賢明なる投資家であれ」
●人気株IPOに潜む陥穽
幾度説明しても、なかなか通じないことがある。それを繰り返すと、相手から嫌われたり、時には怒られたりもする。
それはなにか? 大型人気株の新規上場だ。
それがある度に私は毎回といっていいほど、セミナーなどで「公募で買えるならよいが、上場時点では買わない方がよい」と話す。
これがなかなか受け入れてもらえないのだ。最近の例ではもちろん、メルカリ <4385> [東証M]がある。
19日の上場はマスコミ総出で大歓迎ムード、ユニコーン企業としてその将来性は洋々とする見方が多かった。
それは間違いだったのか。そうではない。確かに将来性は大なのかもしれない。しかし、私が問題視するのは、上場直後の動きだ。どんなに将来性があろうが、上場時点やその数日後で初値を割り込んだりするのは、とんでもないことになる。
株なのだから下げることもある。これは理屈としては理解できる。しかし、超人気銘柄で、市場環境もさほど悪くないのに初値を割り込むのは、上場のやり方自体に問題があると見ざるを得ない。
では、メルカリ株はどうなった。初値は5000円、その後の高値は6000円。それをつけるとすぐに反落、この原稿を書いている時点では4685円だ。21日につけた安値4565円からは少し戻っているものの、初値の5000円とはかなりの距離がある。(編集部注:週末22日の終値は4550円)
超人気銘柄の新規上場はこうなりがちなので、前述したように私は「投資しない方がよい」と主張するのだが、同意してもらえる投資家が意外に少ないのは、どうしてなのだろうか。
正直、私には理解できない。敢えて苦言を呈するならば、マスコミが流す楽観的な報道を単純に信じすぎないようにしようということになる。
新規上場では上場企業はもちろん、上場に関わる証券会社、その他がここは一世一代の大儲けどころと必死になっているのだ。それを無視して安易に投資してしまうのは、あまりに単純すぎる。そんな投資家の投じるお金が彼らのターゲットなのだから…。
しかし、もうメルカリの上場は終わった。今後、メルカリには株価が上がるよう好材料を次々と出してもらうしかない。時価総額が7000億円を越え、経営陣も大金持ちになったといつまでも大喜びしていられても困るのだ。上場時点で投資した投資家は、初値を割り込んでいる間は、とても安心して眠れないのだ。
●押し目を見逃したくない注目銘柄
さて、スペースが残り少なくなってしまった。私の注目銘柄だ。まずは不二越 <6474> だ。米国は世界各国からの鉄鋼、アルミ輸入製品に対して貿易不均衡の是正を理由に制裁関税を課すとしていたが、不二越については対象から外すと発表した。
株価は21日にそれを好感高したものの、翌22日には市場全体が下げたことで同社株も反落してしまった。しかし、ここで拾っておく作戦が有効と見る。
10月1日から社名変更するのに、市場がそれを好評価しているようには見えないスタートトゥデイ <3092> も反落中なので拾っておきたい。「ZOZO」への社名変更で覚えやすくなるのは経営にプラスする。
株価はすでに高値圏にあり、私も幾度も取り上げているヤマトホールディングス <9064> は、少しでも下げたり、足踏みしたりしていたら投資しておきたい銘柄。収益好転が見込めるため、さらなる高値が期待できる。
免疫系の臨床後期治験に特化しているリニカル <2183> も、小さな押しを見逃さないようにしたい銘柄だ。医薬品開発では免疫系が主流となっているだけに、この会社の活躍余地は大きい。
高齢者向け宅配サービスに強いシルバーライフ <9262> [東証M]も時代のニーズに即応しているため、将来性、株価ともに楽しみだ。
2018年6月22日 記
株探ニュース