佐藤正和氏【米中貿易摩擦で揺らぐ市場、サマーラリーはあるか】(2) <相場観特集>
―7月相場へ舞台が回る、ここでの投資戦略と為替の読み筋―
週明け25日の東京株式市場は薄商いのなか、日経平均株価は続落となった。トランプ米政権が相次いで打ち出す保護主義政策に振り回される形で引き続き買い手控え感が強い。為替も1ドル=109円台半ばの推移と円高に振れており、再びリスク回避の流れが意識されている。6月相場はあす実質最終売買日を迎え、7月相場へと移行することになるが、果たして夏本番に向けサマーラリーは期待できるのか否か。また、カギを握る為替の動向も気になるところで、それぞれ専門家に意見を聞いた。
●「米保護主義懸念でドル安基調に、米利上げ観測が下値支える」
佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)
ドル円相場は、当面上値が重い展開を予想する。
米トランプ政権による保護貿易主義は、世界経済の波乱要因となっている。トランプ政権は、7月6日に中国製品に25%の追加関税を発動することを発表している。また、欧州車に20%課税を課すことを検討していることも警戒されている。当面は、来月6日に中国に対して25%の追加関税などを課すかどうかが注目される。米国と中国が報復関税をかけあえば、両国の景気への影響は相当大きいだろう。実際にはより影響が小さい内容へと歩み寄りが行われるとみている。
ただ、米国の利上げによる金利上昇期待が底流にはあり一方的なドル安には至っていない。米国は年4回の利上げの可能性が出ているが、この見方に変化がないかを確認しておく必要がある。今月28日に予定されている米1-3月期コアPCEデフレーターなどの重要度は高いとみている。
今後1ヵ月程度を視野に入れた場合、ドル円相場のレンジは1ドル=108円00~111円50銭前後を想定する。トレンドはドル安・円高方向をみている。
ユーロは対ドルでは1ユーロ=1.13~1.18ドル前後を想定する。ユーロ圏の景気はあまり良くなく、当面金利も上昇しにくい。トレンドはユーロ安・ドル高だろう。対円では1ユーロ=124~131円前後のレンジでユーロ安・円高基調を見込んでいる。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。
株探ニュース