高橋春樹氏【米中貿易摩擦で揺らぐ市場、サマーラリーはあるか】(3) <相場観特集>

特集
2018年6月25日 20時00分

―7月相場へ舞台が回る、ここでの投資戦略と為替の読み筋―

週明け25日の東京株式市場は薄商いのなか、日経平均株価は続落となった。トランプ米政権が相次いで打ち出す保護主義政策に振り回される形で引き続き買い手控え感が強い。為替も1ドル=109円台半ばの推移と円高に振れており、再びリスク回避の流れが意識されている。6月相場はあす実質最終売買日を迎え、7月相場へと移行することになるが、果たして夏本番に向けサマーラリーは期待できるのか否か。また、カギを握る為替の動向も気になるところで、それぞれ専門家に意見を聞いた。

●「7月中旬以降は企業業績を評価した物色姿勢で堅調相場に」

高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)

買い手掛かり材料が乏しいなかで、足もとの東京株式相場はもちあい商状が続きそうだ。以前から、6月相場は日経平均でほぼ2万2000~2万3000円レンジのボックス内での推移になると想定していた。

今後も、米国と中国など主要国との貿易摩擦問題が深刻化する懸念が予想され、7月第1週までは米中両国の輸入関税課税に対する姿勢をにらみながらの神経質な推移となりそうだ。市場関係者のあいだでは、トランプ米大統領の仕掛けている輸入関税課税強化の姿勢を、同大統領の好むプロレス(非常に強く叩きつけているように見えても、実際の痛みは限定的)に例える向きもある。当面のリスクは(1)米長期金利の急激な上昇、(2)中東での地政学リスクの悪化、(3)米国と主要国間の貿易摩擦激化――の3点とみている。

当面は、トランプ米大統領が知的財産権侵害を巡って、第一弾として打ち出した総額500億ドルの中国製品に対する輸入関税を、予定通り7月6日に発動するかに関心が集まっている。従って、同日まではもちあい相場が継続するものの、このイベントが経過して以降は、日本の3月期決算企業の第1四半期(4-6月)決算や、米国企業の第2四半期累計(1-6月)決算の輪郭が明らかになるに連れ、個別の企業業績に目を向けながらの物色姿勢が鮮明となり、堅調相場が期待できそうだ。

日本の3月期決算の主要輸出企業の想定為替レートは、平均して1ドル=105~106円程度となっており、足もとの1ドル=110円近辺の円相場が持続すれば、業績が上方修正される可能性が濃厚だ。今後、日本株が上昇するための前提としては(1)米株式市場の堅調、(2)ある程度の円安・ドル高傾向の維持、(3)日本企業の利益増益基調――の3点を想定している。なお、米国株の動向で、米S&P500指数は今年3月以降、毎月ほぼ月末から月初に安値をつけて、中旬にかけて上昇するという循環を繰り返しながら、上値も下値も切り上げる堅調な推移となっている。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)

1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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