新興市場見通し:マザーズ指数1000pt割れで目先下げ達成感も、IPOではMTG
先週の新興市場は、リスク回避の売りが優勢だった。米国と中国、欧州などの通商問題を巡る対立激化や中国景気減速への懸念が強まり、日経平均は7月2日に前週末比500円近く下落。その後も不安定な動きとなり、新興市場では個人投資家のマインドや需給悪化による売りがかさんだ。マザーズ指数は節目の1000ptを割り込む場面もあった。週末には米中双方の関税発動が伝わり、目先の悪材料出尽くし感から買い戻しが広がったが、週間では大幅な下落で終わった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-2.3%であったのに対して、マザーズ指数は-6.0%、日経ジャスダック平均は-3.4%だった。
個別では、メルカリ<4385>が週間で6.8%安、ミクシィ<2121>が同1.0%安、サイバーダイン<7779>が同1.9%安とマザーズ時価総額上位は全般さえない。特にそーせいグループ<4565>は同22.3%安と急落し、指数を大きく押し下げた。また、そーせいやジーエヌアイグループ<2160>、オンコリスバイオファーマ<4588>といったバイオ株が週間のマザーズ下落率上位に並んだ。オンコリスは新株予約権発行による資金調達を発表している。一方、ユーザベース<3966>が同11.8%高となり、マザーズ時価総額上位に浮上してきた。米経済メディア会社の買収が材料視された。ZUU<4387>などの直近IPO銘柄も物色を集める場面があった。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同5.7%高となったものの、日本マクドナルドHD<2702>が同4.1%安、セリア<2782>が同6.0%安と軟調だった。ただ、マクドナルドとセリアは6月既存店売上高が好感されて買われる場面があった。売買代金上位では免疫生物研究所<4570>が週半ばにかけて急伸したが、KeyHolder<4712>やSAMURAI&J PARTNERS<4764>は売りに押された。IPOでは、ロジザード<4391>が公開価格の約2.8倍となる高い初値を付けた。キャンディル<1446>も堅調な初値形成だった。
今週の新興市場では、短期的なリバウンドに期待した買いが先行しそうだ。マザーズ指数は7月5日の1000pt割れで目先の下げ達成感が意識されており、追証回避などを目的とした売りもひとまず一服した印象がある。ただ、米国や中国、欧州などの通商問題、また中国景気の先行きなどへの懸念は完全に払拭されておらず、マザーズ指数も外部環境に振らされる場面が続く可能性は残るだろう。
今週は、7月11日にエヌ・ピー・シー<6255>、GameWith<6552>、12日にフィル・カンパニー<3267>、SHIFT<3697>、13日に串カツ田中HD<3547>、IGポート<3791>、ロゼッタ<6182>、ベイカレント・コンサルティング<6532>、RPA HD<6572>、SOU<9270>などが決算発表を予定している。3-5月期の決算発表が多く、物色の手掛かり材料となりそうだ。今期、業績が急拡大しているSHIFTの第3四半期決算などが注目されるだろう。
IPO関連では、7月10日にMTG<7806>がマザーズへ新規上場する。公開規模は460億円と01年以降のマザーズIPOでメルカリ(1307億円)に次ぐ2番目の大きさであり、小型案件のような初値高騰は想定しにくい。しかし、健康・美容ブームを追い風にトレーニング機器「SIXPAD」や美容ローラー「ReFa」が好調に推移しており、投資家の関心は高いようだ。堅調なスタートが期待される。
《HK》
提供:フィスコ