檜和田浩昭氏【どこまで続く上値追い相場、2万3000円は通過点?】(2) <相場観特集>
―米中貿易摩擦でも円安、まだら模様のリスクオンの結末―
17日の東京株式市場は、後半伸び悩んだもののリスクオンの流れが継続し一段の上値追い態勢となった。米中貿易摩擦への警戒感は根強いとはいえ、7月6日を境に全体相場は様変わりの様相を呈している。気がつけば日経平均は2万3000円大台が間近に迫ってきた。7月後半から8月にかけて上昇トレンドは継続するのか否か、経済やマーケット分析で定評のある市場関係者2人に外部環境や需給面などを考察したうえで今後の展開を占ってもらった。
●「円安進行を支えに日経平均2万3000円回復から上値目指す」
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
来週半ば以降、19年3月期決算企業の第1四半期(4~6月)の決算発表が本格化して31日に前半のピークを迎える。したがって、各企業の決算発表や業績見通しの内容を吟味しながらの個別銘柄物色の流れが鮮明となりそうだ。
前週以来、全体相場はやや回復基調にあるものの、日経平均株価の今期予想PERや騰落レシオの25日移動平均などの数値から判断すれば、依然として割安水準にある。さらに、外国為替市場での円相場が、1ドル=112円台で推移していることを考慮すれば、今期の為替レートを、1ドル=100円、同105円と保守的に想定している輸出関連の企業には、通期業績の上方修正や利益高進捗への期待が掛かる。
8月のお盆休み終了までの、今後約1カ月間の東京株式市場は、日経平均株価がジリ高歩調の推移となりそうだ。想定レンジは2万2000円を下値メドとして、上値は5月21日につけた取引時間中の高値2万3050円39銭奪回を目指した展開となりそうだ。国内には、大きなリスク要因が見当たらないことから、米中貿易摩擦が与える世界経済への影響、米国の長期金利の動向、欧州経済の先行きなど外部要因の影響を被ることになりそうだ。
今後、決算発表期間に注目できるセクターとしては、円安・ドル高進行でもメリットを享受する半導体などの電子部品や精密機器といった、輸出関連の主力銘柄がメインの物色対象となりそうだ。また、内需系セクターでは、夫婦共働き世帯や一人暮らし高齢者の増加に伴って、今後中期的に需要が増加する見通しにある“中食市場関連”の銘柄に注目している。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
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