【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆海外情勢睨みつつ出遅れ物色か◆

経済
2018年7月22日 10時05分

〇中国中心に海外情勢注視の姿勢続く〇

18日現在の業種別株価指数の年初来比(TOPIX-4.89%)を見ると、海運-27.51%を筆頭に、鉱業、鉄鋼、非鉄金属が20%超の下落となっている。業種で括れなくとも、FA関連

の不振なども話題で、総じて「中国懸念」が投影されていると考えられる。最近までは半導体関連なども加わっていた。日経平均が2万3000円以上へ押し上げて行くには、この部分の見直しが起こるかどうかが一つの焦点と考えられる。

具体的な動きは起こっていないが、中国国内で習近平独裁体制への批判が強まっているようだ。やや過激な表現では、個人崇拝を行おうとして失脚した華国鋒の再来となるかどうかとの見方もある。米中貿易戦争への対処失敗が、その政治攻防に利用される可能性がある。習主席の「中国の夢=国力強化」そのものが、貿易戦争を招き、経済失速の危機にあるとの批判だ。

18日、カドロー米NEC(国家経済会議)委員長が習主席批判を行った。曰く、貿易摩擦解消を目指した合意形成を習主席自身が「妨げている」と直截的。NHKの報道では、「対立長期化」の可能性と伝えている。習主席は本日から中東・アフリカ歴訪に出る。28日までと長く、この間BRICs首脳会議にも出席し、プーチン露大統領らとも会談予定。「一帯一路」や自由貿易推進を表明するものと見られている。北戴河会議直前でも、国内を空けて大丈夫との強気の姿勢を示すためとも解説されている。

この間は、中国懸念は空白となるのか、新たな展開材料が出るのか予断を許さないが、中国関連見直しの腕試し的となる公算。

高関税・貿易戦争では、25日、ユンケル欧州委員長が訪米し、トランプ大統領と会談を行う(上記のカドロー委員長は有意義な提案が示されると期待)。26日にはNAFTA再交渉で、担当閣僚会合が再開される。メキシコ大統領選、米議会日程などで中断していた。

予想外の展開や対立激化の可能性も無くはないが、市場は両協議が行われること自体を歓迎するものと思われる。

もう一つの関心事はプーチン露大統領。米ロ首脳会談は、ロシアの米大統領選介入問題などを巡って、政治スキャンダル化しているが、トランプ批判のための材料のイメージ。シリアやウクライナで具体的成果がないとされているが、18日、トランプ大統領はツイートで、「多くの重要な問題が話し合われた。ロシアは北朝鮮問題の支援に合意した」などと述べている。

プーチンは果たして動くのか、北朝鮮問題でも習近平主席の立場が宙に浮く可能性があり、今夏の注目点の一つになると考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/7/19号)

《CS》

提供:フィスコ

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