富田隆弥の【CHART CLUB】 「放れ足に従う」

市況
2018年8月25日 10時00分

◆お盆が明け、甲子園も終わったが、東京市場は閑散地合いが続いている。23日現在、売買代金は5日連続で2兆円に届かず、日経平均株価も2万2000円台でのもみ合いが続く。外国人投資家がまだバカンス中なのだろうが、その外国人も間もなく休暇を終え市場に戻ってくる。そうなれば日本株も動き出すだろう。日経平均はもみ合いを煮詰めており、9月はもみ合いからどちらに放れるかが焦点となる。

◆日経平均は2万2410円(23日終値)だが、日足は2万2400円台に集まる移動平均線(25日、75日、200日)や2万2200円台でねじれる一目均衡表の先行スパン(雲)と同水準で、上下しながらもこの水準で膠着感を強めてきた。上の節は5月から上値を押さえてきた「2万3000円」、下値の節は3月安値(2万347円)から引く下値抵抗線のある「2万2000円」。

◆週足を見ると、1月高値(2万4129円)から引く上値抵抗線と、3月安値から引く下値抵抗線とで三角保ち合いを形成する。上値抵抗線はいま2万2700円近辺で、下値抵抗線は2万2000円近辺だが、52週移動平均線が2万2090円近辺にあるので「2万2000円」は下値の重要ポイントとなる。

◆外部環境では「米中貿易交渉」や「トルコ及び新興国の動向」に注目しているが、米国では貿易摩擦懸念や大統領疑惑にお構いなくNYダウ、NASDAQが堅調だ。好調な経済と個人消費、好業績を背景に、いまなお世界から投資マネーを引きつけている。できれば日本株もこの流れに乗りたいところだろう。自民党総裁選の日程が決まり(9月20日)、2万3000円突破となれば“忖度相場”として上昇を加速させよう。だが、逆に下放れる可能性も否定できない。

◆7月末の金融政策決定会合で日銀はETF買いなどで柔軟姿勢を決めたが、8月からETF買いが激減しており、マーケットでは「ステルステーパリング(水面下で進める金融正常化)」が囁かれ始めた。外国人投資家が8月になり3週連続で売り越すなど、多くの投資家が日銀の「買い支え減少」を意識し始めた。このような状況で2万2000円を割り込めば見切り売りが加速しかねない。

◆マーケットにはさまざまな材料があり、上放れにせよ下放れにせよ材料には事欠かない。大事なことは「流れに従う(放れに従う)」ことで、夏休み終盤はその準備をしておきたい。

(8月23日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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