改元近づき“あやかり婚”ブーム、脚光「ブライダル関連株」 <株探トップ特集>
―改元や皇室慶事で婚姻増の前例、消費税増税前の駆け込みも―
天皇陛下が2019年4月30日に退位され、皇太子さまが5月1日に即位される。これに関連して、株式市場ではカレンダーをはじめとする各種印刷物への特需の思惑から印刷会社株などに脚光が当たったが、これとは別に注目したい業界がある。
それはブライダル業界で、「平成のうちに」あるいは「新元号のもとでのジューンブライド」といったニーズから、足もとでブライダルに関する問い合わせが増えているという。結婚式場や ホテルなどでも改元に合わせたプランなどを相次いで打ち出しており、業界は活況を迎えつつある。
●日本人は「あやかり婚」が好き
現在、結婚式場やホテルでは、「平成」駆け込みのブライダルプランが続々と登場している。
首都圏では東京タワーの目の前にある結婚式場ザ・プレイス・オブ・トウキョウが19年4月30日まで限定で「平成駆け込み婚プラン」を販売しているほか、みなとみらい地区の横浜ベイホテル東急も同じく来年4月30日まで限定で「平成かけこみプラン」を販売する。他の結婚式場やホテルでも、「平成」のうちに結婚式を挙げようという2人に向けたプランが少なくない。
一方、新たな元号に関しては、ホテル日航成田が新元号の「あやかり婚」に向けて記念婚礼メニューを提供する予定で今後、新元号が決定すれば、さらにこうした動きが増えるだろう。
改元や皇室の慶事に伴う婚姻数の増加には前例がある。厚生労働省が昨年12月に発表した「人口動態統計の年間推計」によると、17年の婚姻件数は60万7000組で、16年の62万531組に比べて2.2%減少するとともに5年連続のマイナスだった。しかし、93年6月の皇太子さまご成婚、05年11月の紀宮さまご成婚といった暦の前後には前年に比べて婚姻件数が増加している。
また、平成元年の89年、ミレニアムを挟んだ00年、01年は前の年に比べて婚姻数は増加しており、日本人の「あやかり婚」に対する意識の高さがうかがえる。
●消費税増税も刺激に
改元に加えて、ブライダル業界を刺激するもう一つの材料として、19年10月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げがある。
リクルートマーケティングパートナーズ(東京都品川区)が昨年10月に発表した「ゼクシィ 結婚トレンド調査2017」によると、17年に行われた挙式、披露宴・披露パーティーの総額は全国平均で354万8000円だった。これは16年の359万7000円に比べると1.4%の減少になったものの、15年調査の352万7000円を上回っている。
仮に挙式、披露宴・披露パーティーの費用を350万円とすると、税率8%ならば消費税額は28万円、税率10%なら35万円となり、7万円のアップとなる。ハネムーンや新居への引っ越しなど新生活に関連した費用がかかる2人にとっては決して小さな額ではない。
前回の14年4月からの消費税率5%から8%への引き上げの際には、住宅の購入などと同様に結婚式にも特例措置が適用され、13年9月末までに規模や料金を決めて式場と契約した場合は、14年4月以降に結婚式を行っても、消費税率5%が適用された。今回の引き上げでも同様の措置が行われるかどうかは不確定だが、引き上げ前に挙式が増加する可能性は高い。
●ブライダル大手の商機広がる
改元に伴い期待される婚姻数の増加は、今年度後半の業績に反映されるとみられるが、直営型 ハウスウェディングのパイオニアであるテイクアンドギヴ・ニーズ <4331> や、リゾートウェディング大手で雅叙園、メルパルクなども運営するワタベウェディング <4696> 、ゲストハウスウェディングを展開するベストブライダルを傘下に擁するツカダ・グローバルホールディング <2418> などのブライダル大手は知名度の高さもあって恩恵を大きく受けそうだ。
また、大手以外でも「施設スタイルにこだわらない都市型ブライダルオペレーター」であるエスクリ <2196> や、九州、北陸、東北、中四国などの地方都市を中心に、ゲストハウスウェディングを展開するアイ・ケイ・ケイ <2198> 、完全貸し切り型ゲストハウスウェディングを展開するブラス <2424> 、呉服・振袖の販売・レンタルのほか複数の結婚式場を展開する一蔵 <6186> などのビジネスチャンス拡大も期待できる。もちろん、国内最高級ホテルの帝国ホテル <9708> [東証2]も忘れてはならない。
●周辺事業にも恩恵
このほか、婚姻数が増加すれば、ブライダル周辺業界のビジネスチャンスも拡大する。
ウェディングドレスやタキシードなどの製造・販売に加え、貸衣裳店向けの婚礼衣裳レンタル事業を展開するクラウディアホールディングス <3607> や、結婚式場に対して高砂花・卓上花・ブーケなどの婚礼用生花商品の制作から設営までを行うビューティ花壇 <3041> [東証2]、ブライダルジュエリーを手掛けるNEW ART <7638> [JQ]、ヨンドシーホールディングス <8008> などが関連銘柄として挙げられる。さらに、結婚式場選びの口コミサイトを運営するみんなのウェディング <3685> [東証M](10月1日付でオウチーノ <6084> [東証M]と経営統合)にも注目したい。
株探ニュース