米国株式市場見通し:通商交渉や経済指標に注目
週初は米国東部へのハリケーン「フローレンス」の被害の状況を受けて、経済的なインパクトや損害保険やホームセンターなど一部関連銘柄の業績への影響が注目されるだろう。また、米中通商協議が再開されるとの報道を受けて貿易摩擦への懸念が後退したが、協議の具体的な日程等が決まれば、投資家心理の改善に繋がるだろう。カナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉も続いているが、前週はカナダが乳製品分野で米国に譲歩するなど一定の進展が見られており、今後の動向を注視したい。また、26日のFOMCを控えて9月の利上げが確実視されるなか、消費者物価指数が予想を下振れるなどインフレ上昇の鈍化が示されており、経済指標にも注目が集まりそうだ。
週初はアップルの新型iPhoneの予約開始後3日間の予約状況に注目が集まりそうだ。初週の予約状況によって、iPhone販売で恩恵を受ける通信キャリア各社や部品メーカー、そして決済ネットワーク企業などが物色されるだろう。また、相対的に低価格であるiPhone XRが10月末に出荷されるまで、買い控える顧客がどれほどいるのかも見極めたい。一方で、米通信大手各社からはiPhone XS/XS Max/XRの値引きなど目立った販売促進策は発表されていない。旧機種の下取りは例年通り実施されるだろうが、各社の値引き率は年々低くなっており、積極的な販売促進は期待できないだろう。
経済指標では、9月NY連銀製造業景況指数(17日)、9月NAHB住宅市場指数(18日)、8月住宅着工・建設許可件数(19日)、8月中古住宅販売件数(20日)、8月景気先行指数(20日)、9月マークイット製造業PMI(21日)などの発表が予定されている。住宅建設業者の景況感を示すNAHB住宅市場指数は、引き続き良好な水準で推移しているものの、8月分は11ヶ月ぶりの低さとなるなど緩やかに低下している。関税引き上げなど貿易摩擦の影響が建築資材の価格に影響を与えている可能性もあり、注意が必要だ。
企業決算では、運送会社のフェデックス(17日)、ソフトウェア大手のオラクル(17日)、住宅建設会社のレナー(18日)、自動車部品・アクセサリー小売のオートゾーン(18日)、食品のゼネラルミルズ(18日)、クルーズ客船運航のカーニバル・コーポレーション(20日)、半導体メモリのマイクロン・テクノロジー(20日)などの発表が予定されている。マイクロン・テクノロジーは、メモリー市場の需給懸念を背景に複数アナリストが目標株価や投資判断を下方修正しているが、著名ヘッジファンドマネジャーのデビッド・テッパー氏が強気の見方を示したほか、新型iPhoneへの需要拡大を予想する向きもあり、決算内容に注目したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ