国内株式市場見通し:日経平均23000円固めへ、通商協議は次のステップ

市況
2018年9月15日 15時32分

■日経平均23000円台回復、米中通商協議の再開期待が支援

先週の日経平均は上昇した。週間ベースでは2週ぶりの上昇となり、14日に取引時間中としては8月30日、終値ベースでは5月21日以来となる23000円台を回復した。週初の10日は貿易摩擦問題を懸念して軟調な寄り付きだったものの、1ドル111円近辺まで下落した為替の円安と、日本の2018年4─6月期の実質国内総生産(GDP)2次速報の上方改定を好感して7営業日ぶりの反発で始まった。11日は米半導体株高や為替の円安などを好感して大幅続伸した。12日は前日の急伸から利益確定売りが先行して一服したものの、13日は米国が中国に通商交渉の再開を提案していることが報じられて、日経平均は反発した。過度な米通商問題に対する警戒感が後退するなか、メジャーSQ当日となった14日も、トルコ中央銀行が事前予想以上の利上げに動いたことや、約1カ月半ぶりに1ドル112円台となった円安などが好感されて日経平均は続伸した。14日のSQ値は23057.94円。物色的には、インデックスに絡んだ商いが先行しファーストリテイリング<9983>、ソフトバンクG<9984>が週末にかけて揃って高値を更新する展開となり、14日はソニー<6758>も8月の年初来高値を更新と続いた。対象的にローム<6963>や東京エレクトロン<8035>など半導体関連株に安値更新が目立った。なお、NYダウは大型台風「フローレンス」の接近や半導体関連株の波乱が警戒されたものの、米中協議再開への期待感が指数を押し上げた。14日のNYダウはアジア、欧州株高の流れを受けて小幅ながら4日続伸となった。

■センチメント改善、FFRが第一関門

今週の日経平均は、23000円台を固める展開が予想される。事前予想を上回るトルコ中央銀行による利上げ(政策金利の6.25ポイント引き上げ)で、新興国を含む世界景気に対する警戒感が薄らぎ円高懸念は後退した。米中の通商協議再開は、売りに傾いていた一部の先物ポジションが14日のSQを前に一旦解消されたともみることができる。外部環境の好転で、日経平均が厚い上値の壁として意識されていた23000円台で大引け、14日のSQ値23057.94円を上抜けて引けたことは、市場のセンチメントを改善してこよう。こうしたなか、21日にニューヨークで開催が調整中の茂木敏充経済財政相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による、日米通商協議(FFR)の第2回会合が、大きなイベントとして控える。25日に開催予定の日米首脳会談での合意形成を目指し、2日間となる可能性もあると報道されているが、内容次第でマーケットに与える影響は大きい。米中貿易協議の再開に向けた「かけひき」が日経平均を神経質な展開に導くなかで、為替の円安基調が下値を支える形となりそうだ。

■自民党総裁選、補正予算、3連休控え

FFRとともに注目のイベントが、6年ぶりとなる20日の自民党総裁選(即日開票)だ。安倍首相が3選されれば、政治基盤の盤石さが改めて好感されることとなるだろう。その後の関西・北海道の災害に絡む補正予算編成などが意識されて、政治・政策要因は相場的に追い風に働きやすくなる。2月2日(金)から5日(月)に急落で空けた日経平均のマド埋めが、2日のザラバ安値23122.45円であることから、次のテクニカル上の目標値はここにある。ここを抜けてくれば、1月に付けた年初来高値24129.34円が年度後半の相場で意識されてくることになる。ただし、目先は14日のNYダウは4日続伸となったものの、トランプ大統領が2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税措置を指示と報じられて伸び悩むなど、引き続き貿易摩擦問題は懸念材料として横たわる。また、2週連続の3連休というカレンダー事情も手伝い、週末に向けては模様眺めムードが強まることが予想される。物色的には、昨年秋以来の安値水準に沈んでいる東京エレクトロン<8035>など半導体関連が波乱要素を抱えているものの、トヨタ<7203>が3月の年初来安値6531円を割り込まずに反転したことは、優良株に安心感を与えている。

■19日に黒田日銀総裁会見、21日FFR

今週の主な国内経済関連スケジュールは、18日に日銀金融政策決定会合(19日まで)、基準地価(各都道府県)、19日に黒田日銀総裁会見、8月貿易統計、8月訪日外客数、20日に8月の主要コンビニ売上高、21日に8月消費者物価指数、7月全産業活動指数の発表がそれぞれ予定されている。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、17日に米9月NY連銀製造業景気指数、18日に米9月NAHB住宅市場指数、19日に米4?6月期経常収支、米8月住宅着工件数、米8月建設許可件数、20日に米9月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米8月中古住宅販売件数、米8月CB景気先行総合指数が発表される。このほかのイベントとしては、18日から第73回国連総会開幕(10月1日まで)、朝鮮半島南北首脳会談(20日まで、平壌)、19日に日証協会長会見、20日に自民党総裁選挙投開票、「東京ゲームショウ2018」ビジネスデイ開幕、21日は第2回日米通商協議(FFR、調整中)、日本ベトナム外交関係樹立45周年となる。なお、17日は敬老の日で東京株式市場は休場。

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.