富田隆弥の【CHART CLUB】 「チャートに“陰転信号”灯る、抵抗線割れ」
◆10月3日の日経平均株価は、159円安の2万4110円と4日ぶりに下落した。9月中旬から快進撃が続き、前日2日には2万4448円(ザラバ)まで値を伸ばしていたので、市場には「当然の一服」という雰囲気が漂う。だが、チャートはそこで「陰転信号」を灯す。注視していた短期の下値抵抗線(9月7日安値から引くライン)を割り込んできた。
◆サイコロジカルラインが2日に11勝1敗(91.6%)となり、騰落レシオ(25日)は1週間前の9月26日に136%でピークを打ち、短期RCI(9日、13日、25日)はこの1週間でデッドクロスするなど、テクニカル指標はピークアウト感を出している。こうした状況下での下値抵抗線割れを侮るわけにはいかない。
◆好調な経済指標を背景に3日のNYダウは5日続伸し、最高値を2万6951ドル(ザラバ)に伸ばした。また、米長期金利が3.18%に上昇し、ドル円は114円台半ばに上昇した。この円安は日本株にとって「追い風」と捉えることはできるが、米長期金利の上昇を日米とも無視できるだろうか。
◆トランプ米政権への警戒感や利上げ懸念が出る度に、売りを誘っては踏み上げてきた米国株。表現を変えれば「イイとこ取り」の相場だが、長きにわたる上昇でチャートには過熱信号が多く灯る。投資家は「高所恐怖症」を抱きながらも下げない相場で買い対応を強いられているが、トランプ大統領の先行きを占う大きな焦点は11月6日の中間選挙だ。マーケットはその日まで正直に上値追いを続けるだろうか。高値を更新する強い相場であれば、少し前に織り込んでピークアウトすることもある。トランプ大統領のスキャンダルが取り沙汰されるようになり、ヘッジファンドの決算(10月~11月)が迫ることを踏まえると、何かをキッカケに利益確定売りが集中してもおかしくない。いま、米国株はそういう状況にあることを認識しておきたい。
◆日経平均も、9月7日安値の2万2172円から3週間ちょっとで10.2%(2276円)の急騰を演じている。「16連騰を記録した昨年10月の強い相場を彷彿する」という市場関係者の声も少なくない。ただ、この間に裁定買い残は1兆1195億円増えて2兆5628億円(9月28日現在)と、5月の2兆6895億円に肩を並べてきた。NT倍率は13.37倍(10月3日)に拡大し、直近の上昇が日経平均主導(先物&値がさ株主導)であることは明らかだが、裏を返せば先物&値がさ株主導で日経平均の急調整を招くことも否定できない。
◆理由はともかく、相場は流れに従うもの。10月といえば過去にブラックマンデーがあった月でもあり、抵抗線を割った株式市場には慎重さが求められる。
(10月4日 記、毎週土曜日に更新)
株探ニュース