【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆原油相場は波乱の目となるか◆

経済
2018年10月7日 9時50分

〇原油相場急伸、3年ぶり高値〇

期替わりらしく、様々な動きが出てきた。本庶京大教授のノーベル賞は、万年候補と言われてきた(他の有力賞との重複を避けると言われた)だけに、喜ばしい限りだ。関連の小野薬品株はこのところ上昇しており、急落前の3月高値3389円(昨日終値3210円)を抜いていくのは時間の問題と見られ、何処で材料出尽くし観となるか、注目される。

カナダとのNAFTA交渉が設定された期限ぎりぎりで合意した。当初からカナダ劣勢と見られており、市場はメキシコを含む3カ国協定が維持されることを好感した。カナダ中銀の利上げ観測が強まり、カナダドルが上昇、米ドル独歩高懸念を和らげた。米市場のキャッチボール相手が増えた格好となる。

その中で、原油相場が急伸。バレル当たりWTI相場は75.30ドル、北海ブレントは84.98ドル。時間外で85ドルを突破した。先月のOPEC会合で増産見送りとなった後、投機筋が攻勢を賭けていると見られる。最大材料は11月6日(米中間選挙とほぼ同じタイミング)からのイラン産原油の輸入禁止措置。米国の強硬姿勢に欧州や中国が何処まで追従するか未知数だったが、昨日は中国石油化工(シノペック)がイラン産原油の荷役を半減させていると伝えられ、需給逼迫感が一気に強まった。

一方、トランプ大統領がサウジ国王に電話を掛け、市場安定・供給維持の取り組みを協議したと伝えられた。サウジやロシアなど、増産余力があり、イラン分は埋められると見られているが、実現するのは輸入禁止制裁が発動されてからとの見方になっている。

この辺りから、11月米中間選挙後の株価急落説が燻っている。このまま100ドル/バレルを目指す動きが続けば、世界的に物価を押し上げ、金利上昇懸念を強めるとの見方。一方、投機筋は急落を仕掛けるとの見方もある。再び60ドルを割り込む様な展開になれば、サウジなど財政不安、米シェール企業の業績悪化懸念が台頭すると見られている。米株高にはジャンク債市場の好調が支えになっていると見られるが、米ジャンク債市場の中心はシェール企業であり、波乱のトリガーになるとの説だ。

28日発表となった9月東京都区部消費者物価指数は前年同月比+1.0%。4ヵ月連続上昇し、前月の+0.9%から押し上げた。エネルギーが同+6.4%上昇したことが原動力。ドイツの9月消費者物価指数は+2.2%、前月の+1.9%から加速した。エネルギー、食品が押し上げ要因。感度の鈍い日本の物価指数まで押し上げると、世界的な金利上昇を加速させる可能性がある。1日の米市場では長期債利回りの上昇が目立ち、30年債は3.2%台に乗せ、長短金利差が拡大(スティーブ化)した。

株価は売り方の買戻しに加え、期替わりでのニューマネーの参入もあって堅調だが、波乱の目を探りながらの地合いになるものと思われる。

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/2号)

《CS》

提供:フィスコ

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