檜和田浩昭氏【一方通行相場、次に振り子が逆に振れるのは?】(2) <相場観特集>
―米長期金利上昇と中国リスクに揺さぶられる東京市場―
3連休明けとなった9日の東京株式市場は日経平均株価が大幅安。前週の地合いを引き継ぎ売り圧力の強い展開が続いた。9月中旬以降の鮮烈な上昇波も今は鳴りを潜め、急速に下値を試す展開を強いられている。しかし、これまでの経緯でも明らかなように、全体指数はいったん方向が変わると連日の上昇もしくは連日の下落となりやすい傾向がある。企業の四半期決算発表を控え、投資家もリスクをとるべきか否か悩ましい局面だ。相場の機微に通じたマーケット関係者2人に今後の相場展望と物色の方向性について話を聞いた。
●「好業績を背景に日経平均2万5000円台乗せ目指す」
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
日経平均はきょうで4日続落となったが、9月中旬以降の短期間での急ピッチな上昇を考慮すると、当然の一服場面といえそうだ。終値ベースで、9月7日の2万2307円から10月2日の2万4270円まで1963円と2000円近い急騰の後だけに、ある程度の調整は不思議のないところだ。
今後、1ヵ月程度先までを想定すると、5月から8月まで4回トライして突破できなかった日経平均2万3000円水準が下値メドとなりそうだ。一方上値は、1991年10月30日につけた取引時間中の高値2万5254円近辺が目標となりそうだ。現在、日経平均の1株利益は、約1732円となっており、割高感のないPER14.5倍まで買い進むと、2万5000円台に乗せることになる。
株価上昇の支えとなるのは、企業業績の好調さだ。株価上昇の背景となっているのは、米国を巡るさまざまな貿易摩擦が一時に比べてやや沈静化傾向にあるのに加え、3月期決算企業の第2四半期累計(4-9月)業績の好調さが、今後の株価に織り込まれることも想定される。外国為替市場では、中期的には徐々に円安・ドル高が進行する流れが継続しており、輸出企業を中心に通期業績の上方修正が顕在化してくることになりそうだ。
物色対象となるテーマとしては、自動車の自動運転化関連の技術や部品に関する銘柄。また、総合電機各社に多くみられるような、選択と集中などをはじめとした企業丸ごとの“構造改革”断行関連。さらに、製造工程の効率化促進などに向けた設備投資関連や、人工知能を備えたソフトウエアのロボット技術により、定型的な事務作業を自動化・効率化するRPA(ロボットによる業務自動化)関連の銘柄も注目してみたい。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
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