NYの視点:円売り持ち年初来最大:今週の注目:FOMC議事録、米小売り、EUサミット、為替報告

経済
2018年10月15日 7時34分

短期投機家・投資家ポジションで円の売り持ち高は前々週に続き増加し年初来で最大となった。円が売り持ちに傾斜したため、円の下落余地が狭まった可能性がある。ユーロの売り持ち高も昨年4月来で最大。

今週は引き続き株式相場や金利動向を睨んだ展開が予想される。欧州連合(EU)サミットでの英国の離脱協議やイタリア債務の行方、独地方選、バーバリア州議会選の結果、米財務省が公表する為替報告書に注目が集まる。

EU加盟国は、欧州委員会に最終予算案を提出。イタリアの予算案はおそらく却下すると見られる。また、注目のドイツ地方選、バーバリア州議会選挙で、難民政策を巡る懐疑的見方から、与党の歴史的大敗が警戒されている。メルケル首相に責任を問う動きが一段と強まる可能性も、ユーロのリスクとなる。

米10年債利回りが7年ぶり高水準に達する中、連邦公開市場委員会(FOMC)の政策にも引き続き注目。米連邦準備制度理事会(FRB)は、追加利上げを決定した9月FOMCの議事録を公表する予定。本年12月や、来年の利上げ軌道を探る。トランプ大統領が株式相場の下落をFRBの過剰な利上げが原因と非難し、政策の間違いを指摘するも政治的な意図が背景にあるとし、強い経済や雇用を受けて、市場はFOMCが計画通り金融政策の正常化を継続すると見ている。このため、ドルも底堅い展開が継続する可能性がある。

また、米国経済の7割を消費が占めるため9月小売売上高に注目。前月比+0.6%と、伸びは8月の+0.1%から拡大する見込み。また、8月JOLT求人で労働市場のスラックを判断する。米国の9月雇用統計で、非農業部門雇用者数が予想を下回ったが、主にハリケーンが影響したと見られ、労働市場は引き続き健全と考えられており、さらなる利上げを後押しする堅調な結果ととらえられている。

米財務省は半年に一度議会に提出する為替報告書を公表する。米中貿易摩擦が深刻化する中、米国は対中政策をさらに硬化させており、果たして中国を為替操作国と認定するかどうかに注目が集まる。ムニューシン財務長官は「人民元安を懸念しており、通貨も通商協議に含まれる」と指摘。財務省スタッフは、中国は操作国とする項目にあてはまらないと財務長官に報告したと報じられている。操作国と認定する項目には「中央銀行が一方向の介入を実施する」というものがある。中国人民銀行は、通貨安を是正する介入を行っているため、この項目にはあてはまらない。

ただ、中国が真剣に態度を改めない限り、トランプ大統領も対中姿勢を緩める意向はないようで、逆に、追加で2670億ドルの中国製品に関税を課す可能性も示唆。引き続き米中首脳会談の行方を睨む。

■今週の主な注目イベント

●IMF・世銀年次総会(14日まで)

●米国

15日:9月小売り売上高:予想前月比+0.6%(8月:0.1%)

16日:8月JOLT求人

17日:FOMC議事録、ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事

講演(フィンテックに関し)

18日:ブラード・セントルイス連銀総裁、クオールズ米連邦準備理事会

(FRB)副議長講演

19日:カプラン米ダラス連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁講演

20日:ボスティック米アトランタ連銀総裁

●欧州

14日:独地方選、バーバリア州議会選:メルケル首相の南部

15日:ユーロメンバー、欧州委員会に最終予算案を提出。

17日:EU指導者、英国離脱に関して協議

18日:EU銀行同盟に関して協議

●中国

19日:第3四半期GDP:予想前年比+6.6%(前期+6.7%)、

9月鉱工業生産:予想前年比+6.0%(8月+6.1%)、

9月小売り:予想前年比+9.0%(8月+9.0%)

9月PPI:予想前年比+3.6%(8月4.1%)、

9月CPI:予想前年比+2.5%(+2.3%)

●地政学的リスク

トルコ:

北朝鮮:

イラン

ガザ紛争

イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」

シリア

イエメン

《CS》

提供:フィスコ

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