倉持宏朗氏【“一蓮托生”日米株式市場、次の展開はこうなる】(2) <相場観特集>

特集
2018年10月15日 19時15分

―日経平均400円超下落、再び押し寄せるリスクオフの波―

週明け15日の東京株式市場は大きく売り優勢に傾き日経平均株価は400円を超える下げとなった。前週末に大幅続落で始まったものの体勢を立て直し大引けはプラス圏で着地、同日の米株市場も主要指数が揃って切り返しに転じ、これで世界株安のトレンドは一区切りついたかにも見えた。しかし、今回の動乱相場は一筋縄ではいかないようだ。果たして米国株市場の急落は期間限定のガス抜きで終わるのかどうか。また、米国と一蓮托生の日本株市場の行方はどうなるのか。第一線で活躍する市場関係者にずばりその見解を聞いた。

●「好業績評価で日米とも高値更新へ、米中貿易摩擦を注視」

倉持宏朗氏(サクソバンク証券 チーフマーケットアナリスト)

15日の東京株式市場で、日経平均は大幅安となった。これは、米国による「為替条項」導入に対する警戒感や安倍政権による消費税増税の決定、それにサウジアラビア絡みの不安がソフトバンクグループ <9984> 株の下落につながったことなどが要因となったようだ。

ただ、足もとでは不安定な値動きが続く日米の株式市場だが、年末に向けては強含みで推移するとみている。NYダウは最高値、日経平均は1月の年初来高値を更新することはあり得ると思う。

米国では金利上昇が株価の割高感につながるとの観測から売りが膨らんだ。直近の下落はアルゴリズム取引に基づく売りも影響したとみられる。もっとも、足もとの金利上昇は米国の景気拡大を反映している面があることは見逃せない。

また、米国では企業の決算発表が本格化し始めた。7-9月期は主要500社ベースで20%超の増益が見込まれているが、この大幅増益は米株式市場にはまだ織り込まれてはいないと思う。さらに、今月下旬から本格化する日本企業の決算でも、業績の増額修正期待は強い。

注目されるのは、やはり米中貿易摩擦の行方だ。11月6日には米国の中間選挙が予定されているが、場合によっては同選挙後にトランプ米大統領による中国に対する発言はさらに厳しさを増し、トーンアップすることもあり得るだろう。

米中貿易摩擦への警戒感が継続するなか、米国の経済指標と企業業績の動向を注視する展開は続くとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(くらもち・ひろあき)

東海東京証券(エクイティ部長・株式業務統括)、ベアー・スターンズ証券(株式営業部長・マネージングディレクター)、クレディ・リヨネ証券(グローバルエクイティーズ営業本部長・マネージングディレクター)など欧米投資銀行などで、国内外機関投資家及び国内外ヘッジファンド向けセールス及びセールストレーダーとして携わる。マーケットアナリストとしても国内外の主要メディアで取り上げられる。

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