“落ち着き待ち”の東京株式市場、イベント通過後に備える「増額銘柄リスト」 <株探トップ特集>

特集
2018年11月5日 19時30分

―反転上昇のとき見据えて注目の通期経常益増額株―

今週は、米中間選挙、米連邦公開市場委員会(FOMC)、中国の経済指標発表と重要イベントが相次ぎ、内容次第で波乱展開も予想される。そうしたなか、4~9月期決算や19年3月期通期の業績見通しの発表が佳境を迎えている。10月以降の全体株価急落もあって、企業業績の先行きを不安視する見方があるなかでも、通期業績の上方修正に踏み切る勢いのある企業に注目したい。そのなかから、反転上昇相場のリード役として期待感の高まる、好業績で比較的割安な銘柄を紹介したい。

●椿本興、機械設備の製作が想定に比べ高進捗

椿本興業 <8052> は10月31日、19年3月期通期連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を1020億円から1065億円(前期比8.0%増)へ、経常利益を43億5000万円から50億円(同35.4%増)へ、最終利益を28億5000万円から32億5000万円(同34.2%増)へそれぞれ増額した。大口受注案件である機械設備の製作が想定より早く進み、工事進行基準売上高が前倒しで増額したことが収益を押し上げている。重工業向けのパワトラ(電流を増幅する機能を持つトダンジスター)部品に加え、液晶画面製造装置などの売り上げが伸びた。

●西部電機、中国向けの放電機械が好調推移

西部電機 <6144> [東証2]は10月31日、19年3月期通期の連結業績予想について、売上高を260億円から292億円(前期比27.4%増)へ、経常利益を20億3000万円から29億1000万円(同32.2%増)へ、純利益を13億7000万円から19億3000万円(同28.0%増)へそれぞれ増額した。放電機械の中国向け輸出が、市場の高精度機要求に支えられ堅調に推移したことが要因としている。

●テセック、車載向けパワーデバイス用検査装置などの受注伸長

半導体用ハンドラ(選別装置)やテスターのテセック <6337> [JQ]は10月30日、19年3月期通期の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を63億円から71億円(前期比21.0%増)へ、経常利益を10億3000万円から14億円(同57.3%増)へ、最終利益を8億5000万円から12億円(同17.3%増)へそれぞれ増額した。半導体の用途拡大を背景に、半導体製造装置の需要が堅調に推移するなか、付加価値の高い車載向けパワーデバイス用検査装置などの受注が想定より伸びる見通し。また、業績好調に伴い期末一括配当を、従来計画の40円から50円(前期は40円)に増額修正した。

●明治電機、工作機械向けに産業機器や制御機器の販売拡大

明治電機工業 <3388> は10月30日、19年3月期通期の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を710億円から760億円(前期比12.0%増)へ、経常利益を31億4000万円から39億2000万円(同30.2%増)へ、最終利益を22億円から27億8000万円(同29.5%増)へそれぞれ増額した。主要顧客の自動車関連メーカーや半導体、工作機械関連向けに産業機器や制御機器などの販売が大きく伸びたことが寄与している。併せて、今期の年間配当を従来計画の55円から70円(前期は55円)に増額修正した。

●田岡化学、医薬中間体や樹脂原料の伸びが寄与

田岡化学工業 <4113> [東証2]は10月29日、19年3月期通期の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を235億円から240億円(前期比9.9%増)へ、経常利益を22億円から24億円(同14.2%増)へ、最終利益を15億円から16億5000万円(同21.0%増)へそれぞれ増額した。医薬中間体や樹脂原料などの出荷が想定より伸びたことが寄与している。生産効率化による原価低減も上振れに貢献した。併せて、今期の年間配当を従来計画の80円から90円に増額修正した。

●オルガノ、電子産業向け水処理エンジニアリングが拡大

オルガノ <6368> は10月26日、19年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。売上高を890億円から910億円(前期比14.9%増)へ、経常利益を41億円から54億円(同37.3%増)へ、純利益を28億円から37億円(同33.1%増)へそれぞれ増額した。水処理エンジニアリング事業で、大型案件の受注が続く電子産業分野の売り上げ拡大が見込まれることに加え、一般産業分野・機能商品事業も堅調な推移が見込まれることが要因としている。

●JBCCHD、サーバー更新など大型案件を前倒し獲得

ITインフラ構築大手のJBCCホールディングス <9889> は10月25日、19年3月期通期連結利益予想の上方修正を発表した。経常利益を21億5000万円から25億3000万円(前期比24.4%増)へ、最終利益を13億円から15億7000万円(同32.4%増)へ修正した。ただ、売上高は573億円(同9.2%減)で据え置いた。Windows10への更新や、サーバー更新などの大型案件を前倒しで獲得したことが寄与している。セキュリティ、次世代プラットフォーム、クラウド、自社ソフトなどの好採算案件が伸長したことも貢献している。

●ミライトHD、NTT固定通信工事や海外関連事業が順調推移

通信工事大手のミライト・ホールディングス <1417> は1日、19年3月期通期の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を3200億円から3650億円(前期比16.6%増)へ、経常利益を168億円から197億円(同10.4%増)へ、最終利益を110億円から132億円(同14.7%増)へそれぞれ増額し、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなった。NTT固定通信工事や海外関連事業が順調に推移するなか、来年1月に経営統合するソルコム <1987> [東証2]と四国通建(愛媛県今治市)の業績上積みが収益を押し上げる見通しだ。

◆主な通期経常利益上方修正割安銘柄◆

銘柄 <コード>   旧経常利益 経常利益 修正率 増益率  株価  PER

ミライトHD <1417>  16800  19700  17.3  10.4  1651  10.9

日東富士 <2003>     3200   3800  18.8  19.8  5240   8.0

ダイワボウ <3107>   16500  18800  13.9  31.6  6850  11.4

明治電機 <3388>     3140   3920  24.8  30.2  2190   9.0

信越化 <4063>     370000  400000   8.1  17.5  9856  14.5

田岡化学 <4113>     2200   2400   9.1  14.2  5130   8.9

プロトコーポ <4298>   4125   4644  12.6  24.3  1508  10.2

大和工 <5444>     25000  27000   8.0  51.4  2987  10.5

東洋刃物 <5964>     330   400  21.2  54.4  1458   5.9

西部電機 <6144>     2030   2910  43.4  32.2  1127   8.8

カワタ <6292>      1390   2000  43.9  94.4  1830   8.9

タクミナ <6322>     960   1220  27.1  32.9  1780  15.0

テセック <6337>     1030   1400  35.9  57.3  1684   7.9

オルガノ <6368>     4100   5400  31.7  37.3  3190   9.8

リーダー電子 <6867>   165   200  21.2   2.4倍  638  15.1

ローム <6963>     61000  70000  14.8  29.1  8310  17.6

太平洋工 <7250>     9800  10500   7.1  10.7  1565  12.4

椿本興業 <8052>     4350   5000  14.9  35.4  3500   6.7

フルサト工 <8087>    3700   4100  10.8  18.4  1888  10.1

飯野海運 <9119>     5300   5800   9.4  25.2   502   7.9

JBCCHD <9889>   2150   2530  17.7  24.4  1495  16.0

※株価は5日終値、単位:100万円、%、円、倍

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