檜和田浩昭氏【静かな強弱感対立、ここからの相場は上か下か】(3) <相場観特集>
―日経平均は朝安後に浮上も上値追いに慎重なムード―
週明けの東京株式市場は気迷いムード。朝方は日経平均株価が安く始まったものの、売り一巡後急速に下げ渋り、前週末終値を上回る水準で着地した。後場も頑強ぶりを発揮したが、一方で上値を積極的に買う動きは見られない。企業の決算発表もピークを越え、売り方も買い方も新たな刺激材料の出現を息を殺して待つような地合い。2万2000円台前半は静かな強弱感対立の構図が浮き彫りとなっている。こうした局面を何度も見てきた経験値の高いベテラン市場関係者に、東京市場の今後の見通しについて聞いた。
●「保守的な下期企業業績予想に上方修正の期待感」
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
4-9月期決算や19年3月期通期業績見通しの発表が大詰めを迎えているが、今後は個別銘柄のバリュエーションや株価水準を吟味して、改めて評価しながらの物色姿勢が主流となりそうだ。今回の決算内容を見ると、輸出関連の主力企業の多くが米中貿易摩擦による今後の影響などを考慮して、下期(18年10月-19年3月)の業績予想をかなり保守的に見込んでいるケースが目立つ。ただ、足もとの円相場が1ドル=114円前後の水準となっていることなどからも、結果的には通期業績の上方修正に進む可能性が高まりそうだ。
今月30日~12月1日に、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれる主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議には、安倍首相をはじめ、米中首脳も出席して各国の間で首脳会談が実施される見通しで、米中貿易摩擦問題などの解決に向けて一定の方向性が見いだせることになれば、株式市場にとっては年末高に向けての追い風となる可能性もある。
今後、1ヵ月先までの期間で見た場合、日経平均の想定レンジは、下値が2万2000円を少し下回る2万1700円程度。一方、上値は2万3000円台に乗せて2万3300円程度まで上昇する可能性がありそうだ。ただ、12月19日のソフトバンクグループ <9984> の通信子会社ソフトバンク(東京・港区)の大規模な新規上場(IPO)は、需給面で株式市場全体に影響する可能性もあり注意が必要だ。
今後の物色対象として注目したいのは、内需系では医薬品関連のセクターだ。季節要因として、インフルエンザの流行時期に入るのに加え、抗がん剤をはじめとした新薬の需要増による収益拡大に期待が掛かる企業に注目したい。一方、輸出関連では、世界的に拡大が見込まれる生産設備の省力化投資に向けた電子部品メーカーの成長力に期待した株価面での見直しが進みそうだ。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
株探ニュース