新高値迫る“J-REIT”、環境良好で「海外投資家買い」継続 <株探トップ特集>

特集
2018年11月13日 19時30分

―過ぎ去った“毎月分配型投信問題”、平均利回り4%台に高まる注目―

13日の東京株式市場は日経平均株価が前日比459円安と急落。米アップルの新型iPhone販売への不安を背景にNYダウが大幅安となるなか、依然として東京市場は外部要因に振り回される不安定な状況が続く。そんななか、市場の注目を集めているのがREIT(不動産投資信託)だ。不動産市況は堅調であり、(株式の配当に相当する)分配金利回りの高さに着目する投資家の買いが流入。海外投資家も積極買いを進めるなかJ-REITは新ステージを迎えようとしている。

●外国人は2000億円強の買い越し、世界的視野でJ-REITを選好

日経平均が波乱展開となる一方、J-REIT市場の底堅さが際立つ。東証REIT指数は13日、前日比3.78ポイント安の1782.44と反落した。しかし、年初からの上昇率は7%に達しており、今年6月の年初来高値(1788.87)の更新を目前にしている。

このJ-REITの上昇を牽引しているのが海外投資家だ。直近の10月は48億円の買い越しで、今年に入ってから売り越したのは5月と8月のみ。1月からの年間ベースでは2000億円強の買い越しとなっている。

東証には約60のREITが上場しているが、その平均分配金利回りは約4.1%と高水準だ。米国では長期金利が上昇し、スプレッド縮小に伴い高利回り銘柄に対する投資の優位性は相対的に薄れている。しかし、日本の金利上昇は限定的だ。海外投資家は世界のREIT市場のなかでも、J-REITを魅力的な投資対象とみていることがうかがえる。

●米中貿易摩擦の影響限定的、毎月分配型投信の悪要因は一巡

J-REITなど不動産投資には米中貿易摩擦の悪影響が少ない点も買い安心感を呼んでいる。さらに、J-REITを取り巻くファンダメンタルズ面も良好だ。国土交通省が9月に発表した全国基準地価は0.1%上昇し、27年ぶりにプラスに転じた。特に3大都市圏(東京・大阪・名古屋)での上昇が目立つ。また、オフィス需要も好調だ。東京都心のオフィスビル空室率は低下基調を続け2.2%前後と、2001年以降での最低水準にあるともみられている。

東証REIT指数は、16年半ばから17年秋口にかけては軟調に推移していた。これはJ-REITを組み込んだ毎月分配型投信の動向が懸念されていた要因が大きい。金融庁が、毎月分配型の投信は長期投資には適さないと批判を強めたことを背景に、毎月分配型投信の販売金額は減少。毎月分配型投信にはJ-REITを組み込んだファンドが多く、買い資金が細っただけではなく売りが優勢となり、J-REIT市場の下落要因として働いた。ただ、この毎月分配型投信の問題も足もとではほぼ一巡した格好だ。

●REIT指数は1800乗せから一段高も、ビルFや大和OFなど注目

日経平均は秋口以降、乱高下を繰り返し、不安定な色彩を強めている。そんななか、高利回りでディフェンシブ色の強いJ-REITは、資金の運用先として一段と注目を集めている。海外投資家に限らず地銀などの国内勢からの見直し買いも見込まれており、東証REIT指数は今後、1800乗せから一段の上昇も期待できそうだ。そこで、注目できる5つのREITを紹介したい。

日本ビルファンド投資法人 <8951> [東証R]~J-REITの代表銘柄。投資口価格(株価に相当)は、足もとで上昇基調を強め16年5月以来、2年半ぶりの高値水準にある。空室率の低下など堅調なオフィス市況が、追い風となっている。分配金配当利回りは3%前後の水準にある。

大和証券オフィス投資法人 <8976> [東証R]~中型オフィス系のREIT。東京のオフィスを中心に投資しており、特にオフィス需給が逼迫している渋谷区の割合が高く恩恵を受けることが期待されている。分配金利回りは3.2%前後。

日本プロロジスリート投資法人 <3283> [東証R]~外資系の物流施設特化型REIT。電子商取引(EC)の市場急拡大とともに、物流施設への需要は強い。分配金利回りは3.7%前後。

アドバンス・レジデンス投資法人 <3269> [東証R]~伊藤忠商事 <8001> 系の住宅特化型REIT。好調な賃貸住宅市況を背景に業績は堅調。分配金利回りは3.6%前後。

日本ロジスティクスファンド投資法人 <8967> [東証R]~三井物産 <8031> などをスポンサーとする物流施設特化型REIT。自己投資口買い(自社株買いに相当)を積極的に行っており、需給改善に期待。分配金利回りは4.1%前後。

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