明日の株式相場見通し=米中摩擦緩和による強気相場の余韻で続伸
4日の東京株式市場は、目先過熱感はあるものの強気相場の余韻で上値追い基調を継続する公算が大きい。日経平均株価は11月22日を境に“上げ一辺倒”となり7営業日続伸、きょう(3日)の高値まで1200円近い上昇をみせた。この一方通行の上昇は、決して珍しい現象ではなく、これまでに幾度となく見てきた景色ではある。
直近では9月13日から26日にかけて8営業日続伸を記録しており、この時は2万2000円台半ばから2万4000円台まで一気に駆け上がる“超強気相場”を演じた。しかし、10月3日を境に歯車は逆回転を始め、同月11日には915円安という暴落をみせ、さらにその後も投資家の戦意を喪失させるがごとき急落に波状的に見舞われたのは周知の通りだ。
背景には米中貿易摩擦問題を起点とした世界経済の鈍化懸念があったわけだが、果たしてその時と今はどのくらい実勢経済に変化があったかといえば、「状況は変わらない」と答えざるを得ない。つまり、相場は需給で動く。長い目でみれば今は高値波乱の只中にあるのかもしれないが、アルゴリズムによる高速自動売買の影響なども加わり、少なくとも足もとは糸の切れた凧のように日経平均株価は舞い上がっている。
米中首脳会談が大方の事前観測通り首尾よくまとまり、中国への追加関税は90日間の猶予を得た。しかし、今回のこの結果を受けた米国側のリリースと中国側のリリースには大きな温度差がある。依然として両国の溝は埋まっておらず、早晩需給の歯車が逆回転すれば、後付けでその認識の相違が売りの理由となっても不思議はない。また、パウエルFRB議長の発言にしても、ハト派寄りに傾き過ぎた解釈にパウエル氏自身が後悔しているフシもある。したがって12月5日の同氏の議会証言は注目度が高い。
騰落レシオ(25日移動平均)は東証1部、日経平均ベースともに過熱ゾーンとされる120%台に既に達しているが、そろそろ反転に身構える準備は必要かもしれない。
日程面では、あすは11月のマネタリーベース、10年物国債の入札がある。また、海外では豪州中央銀行が政策金利を発表するほか、EU財務理事会が行われる見通し。
(中村潤一)
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)