清水洋介氏【日経平均の上昇加速、年末ラリー突入の確度】(2) <相場観特集>

特集
2018年12月3日 19時45分

―米中貿易摩擦への懸念後退、強気相場に死角はあるか―

3日の東京株式市場はリスクオンの流れが継続、日経平均株価は7連騰と気を吐いた。一時2万2700円近くまで上昇、10月18日以来1ヵ月半ぶりの高値圏まで水準を切り上げている。米中貿易摩擦問題の足かせが外れたわけではないが、これまで緊張に途切れのなかった両国の通商交渉が久しぶりに緩和する方向に動いたことで、マーケット心理は一段と強気に傾いた。果たしてこれは年末ラリーの入り口となるのか。物色の方向性も含め先読みに定評のある市場関係者に意見を聞いた。

●「依然、上値は重い展開、銀行や商社など再評価余地」

清水洋介氏(Argo Navis フィナンシャルコンシェルジュ)

東京株式市場は、年末に向け、依然上値は重い展開を予想する。

米国や東京株式市場では、業績は良いのに上値では売られる展開が続いている。これは、基本的に買われ過ぎた銘柄が、買われ過ぎの状態を維持することができなくなったことが大きいだろう。

日経平均では、ファーストリテイリング <9983> やユニー・ファミリーマートホールディングス <8028> などの品薄株が株価を押し上げる状態となっており、実体を反映しにくくなっている。こうしたなか、気になるのは今月19日に東証へ上場を予定するソフトバンク <9434> [東証]の影響だ。最大で約2兆6000億円の資金が吸収されそうだが、もしこれだけの資金の回転が効かなくなった場合の影響は大きい。それだけに、同社のIPOの動向からは目が離せない。

今後、年末にかけての日経平均のレンジは2万1000~2万3000円を見込む。基本的には2万2000円を中心とする一進一退が続くとみる。ただ、割安銘柄も多いだけに、下値は限定的だろう。

当面は、銀行や商社セクターに投資妙味がありそうだ。銀行は収益環境の厳しさが指摘されているが、株価はここから一段の売りは出にくい水準にある。大豆など穀物や原油は今後、上昇も期待できるとみており、商社株には上値余地がありそうだ。また、極洋 <1301> やダイサン <4750> [東証2]といった低PER銘柄にも注目している。ファイナンス発表で売られた高島屋 <8233> にも見直し余地があるだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(しみず・ようすけ)

大手証券会社に入社後、外資系証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト、テクニカル分析の第一人者として、「チャートの先生」「ストラテジスト」の役割でテレビのレギュラー出演や雑誌の連載などで活躍。現役ディーラーとしても日々相場と対峙している。10年以上続いているメールマガジン「日々是相場」や投資に関しての講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校、証券投資の本質、株式投資の楽しさを啓蒙している。

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