新興市場見通し:新年相場入りで需給改善、外部環境睨みだが目先は安心感も
年末年始の新興市場では、日経平均が軟調な展開となるなか、マザーズ指数や日経ジャスダック平均は底堅く推移した。日経平均は12月25日に1000円超下落するなど引き続き不安定な値動きで、新興市場でも年末年始の休暇を前に手仕舞い売りが出る場面もあった。しかし、年末にかけての損益確定の売りが一服したことで需給状況が改善し、中小型株にはリバウンド期待の買いが入った。なお、12月25日から1月4日までの騰落率は、日経平均が-3.0%であったのに対して、マザーズ指数は+2.0%、日経ジャスダック平均は+0.4%だった。
個別では、サンバイオ<4592>が同期間で1.1%高、ミクシィ<2121>が同10.3%高となったものの、メルカリ<4385>が同0.5%安、MTG<7806>が同4.1%安となるなどマザーズ時価総額上位は高安まちまちだった。PKSHA Technology<3993>は同7.4%高とリバウンドを見せた。また、ブライトパス・バイオ<4594>やオンコリスバイオファーマ<4588>といったバイオ株がこの期間のマザーズ上昇率上位に顔を出した。オンコリスは開発中のがん体外検査薬が韓国で特許査定を受けたと発表している。一方、直近IPO銘柄のKudan<4425>やVALUENEX<4422>に利益確定の売りが出た。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同11.2%安と軟調だった。世界経済の減速懸念から売りがかさんだようだ。一方で東映アニメーション<4816>は買われ、同9.5%高となった。また、膵臓がん樹状細胞ワクチンの医師主導治験で安全性が確認されたテラ<2191>が大きく買われ、この期間のジャスダック上昇率トップだった。反面、ワイエスフード<3358>が利益確定売りに押され、下落率トップとなった。IPOでは、12月25日上場のベルトラ<7048>がしっかりした初値形成となり、リンク<4428>が公開価格の約2.1倍となる高い初値を付けて18年のIPOを締めくくった。
今週の新興市場では、マザーズ指数が目先戻りを試す展開となりそうだ。先週末の米国市場では米景気減速や利上げへの警戒感が後退し、NYダウが大幅反発した。新年相場入りによる需給改善に加え、外部環境の改善を背景に、週明けの新興市場では買い安心感が広がるだろう。ただ、1月7-8日には米中の次官級協議が予定されており、米中摩擦や米政治情勢に関する報道睨みの相場展開は続きそうだ。
今週は、1月10日にSHIFT<3697>、エルテス<3967>、11日にウエストHD<1407>、エスプール<2471>、農業総合研究所<3541>、ロコンド<3558>、UUUM<3990>、ロゼッタ<6182>などが決算発表を予定している。第1四半期が大幅な増収増益だったUUUMの上期決算などが注目されそうだ。また、8日から米国で世界最大の家電見本市「CES」が開催され、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、自動運転といった先端技術に関心が向かう可能性がある。
IPO関連では、19年最初の新規上場企業はまだ発表されていない。当面はIPO空白期間となる見込みで、直近IPO銘柄に見直し買いの動きが見られる。なお、18年のIPO90社のうち、初値が公開価格を上回ったのは80社(88.9%)だった。公開価格に対する初値騰落率は平均+104.9%となったが、特に年前半に初値を飛ばす案件が多かった。
《FA》
提供:フィスコ