鈴木英之氏【相場観特別編・日経平均株価、ずばり19年相場はこう動く】(2) <相場観特集>

特集
2019年1月7日 19時15分

―アルゴ売買で不安定な相場、中長期トレンドの急所は―

東京株式市場は大発会に波乱のスタートとなったが、週をまたいで新春相場2回目の取引となった7日、日経平均株価は一時700円強の上昇と急反発に転じ、2万円大台を回復した。米中貿易摩擦の行方や米金融政策の動向、世界経済の先行きなど不透明要因が強く意識されるなか、株価のボラティリティの高さは相変わらずで、アルゴリズム売買の影響もあって上下に翻弄される展開が続いている。しかし、年間を通じた中長期トレンドがどちらの方向を向いているのかは投資家として、ぜひとも押さえておきたいところだ。相場の先読みで定評のあるベテラン市場関係者に2019年相場の見通しを聞いた。

●「5月あるいは10月に安値示現後、年末高へ」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

米国と中国の間での覇権争いは、19年の大きなリスク要因となりそうだ。米中貿易協議を含む両国の交渉が、2月末までに成立するかどうかで年後半に向けての今年の相場展開も大きく変わるとみている。

また、新年は「米国経済はピークアウトするか」「米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策はどうなるか」が注目ポイントとなる。米国の内需は好調であり、景気全般はさほど落ち込まないかもしれない。しかし、世界規模でのサプライチェーンの見直しが行われつつあるなか、米企業の業績は影響を受けることはあり得る。FRBはあと1~2回程度の利上げを行うかもしれないが、米金融政策も株価をにらみながらの展開となるだろう。

この世界経済の変化は日本企業にも影響を与えることになる。19年を通じての日経平均株価のレンジは1万8000~2万3000円前後を見込む。3月期決算の結果がほぼ判明する5月中旬、あるいは消費増税が実施される10月に安値を付ける可能性があると思う。その後、年末にかけ上昇に転じる展開を予想する。日経平均採用銘柄のPBR1倍の水準は1万9200円前後だが、株価の下落局面ではPBR1倍を割り込み1万8000円程度まで下落することはあり得るだろう。

相場テーマとしては「人生100年時代」を挙げたい。日本人の寿命が100歳を超す時代を見据えた銘柄物色に注目したい。例えば、ファンケル <4921> や資生堂 <4911> などのような健康食品や化粧品を手掛ける銘柄、あるいは介護付き老人ホームやスポーツクラブなどに関係する銘柄に活躍余地がありそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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